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雑節【土用】(どよう)|四季をつなぐ“調えの18日間”

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土用(どよう)は、立春・立夏・立秋・立冬の前に訪れる約18日間のことを指します。
一年の中で4回あり、四季が切り替わる前の “調整・緩衝帯” の役割を持つ雑節です。

「土用=夏・うなぎ」というイメージが広く知られていますが、
土用は本来“季節を整えるための静かな時間”として、古くから大切にされてきました。


🌿 土用とは ― 四季の変わり目を支える「土」の時間

二十四節気が季節の“柱”だとすれば、
土用はその柱どうしをつなぐ 橋のような時間 です。

起源は五行思想。
春=木、夏=火、秋=金、冬=水 とすると、余るのが「土」。
この土を四季の合間に配し、季節の力を調和させる期間としました。

土用対応する節気意味・役割
冬の土用立春の前冬の静けさを整え、春へ向かう
春の土用立夏の前春の高まりを鎮め、夏へ備える
夏の土用立秋の前暑さの極み。心身の疲れを整える
秋の土用立冬の前実りの季節を締め、冬支度へ移る

古くは「土の気が強い期間=土を動かしてはいけない」とされ、
植え替え・建築などを慎んだともいわれます。

現代風に言えば──

“季節が切り替わる前の、心と体と暮らしのリセット期間”


🌞 もっとも存在感のある「夏の土用」

もちろん土用の中で最も知られるのは夏。

立秋前の18日間(例:2025年:7月19日〜8月6日)
● 高温多湿による疲労・食中毒・夏バテなど、体に負担が大きい時期
● 夕立・雷雨・湿気など、自然も不安定

夏の土用が特に意識されるのは、
人々が「季節の変わり目」を最も実感しやすい時期だからです。

「土を休める」「身体を休める」という考え方は、
気候の変化が激しい日本の風土にもよく合っています。


🍽 “土用の丑の日”と食の知恵

土用の期間中に干支が丑にあたる日を「土用の丑の日」と呼びます。
年によっては1回〜2回あります(2025年は2回)。

代表的な食べ物と意味は以下の通り:

食べ物意味
うなぎスタミナ補給。夏バテ回復
梅干し殺菌・食欲増進
うどん胃に優しい“う”のつく食べ物
しじみ・スイカ水分・ミネラル補給

“うなぎ=平賀源内の販促”という話が有名ですが、
本質は 養生の文化 です。

土用は季節と身体のバランスを整える時期。
そのため、体に良いものを食べるという習慣も自然と生まれたのでしょう。


🏠 暮らしに残る「土用」の知恵

古くから伝わる暮らしの工夫は、現代でも十分に役立ちます。

  • 植え替えや土木作業を避ける
  • 発酵食がよくできる時期とされる
  • ゆっくり入浴し、睡眠を大切にする
  • 酢の物、梅、麦茶などで体調を整える
  • 大掃除・模様替えなどは控えめに
  • 不調が出やすいため、無理をしない

“気候変化の大きな前後で、体と暮らしを整える”
という考え方は、今の生活にもすっと馴染みます。


💬 ひとこと

土用は、四季を大きく分ける二十四節気の“隙間”にある静かな時間。
古人はこの「見えない季節の境目」を大切にし、
心と体を整えながら次の季節へ踏み出しました。

忙しさが続く現代こそ、
季節の切り替えに合わせて小さく立ち止まることには意味があります。

土用とは、自然がくれた “整えの時間” なのです。

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