🐦 清明・初候 玄鳥至(つばめきたる)
目次
🌤 自然 ― 南からツバメが渡り来るころ
清明の初候は「玄鳥至(つばめきたる)」。
“玄鳥(げんちょう)”とはツバメのこと。南の国から渡ってくる季節を指します。
令和8年(2026年)は4月4日ごろ、太陽黄経はおよそ15度。
春の空気が安定し、風がやわらかくなると、青い背を光らせたツバメたちが田畑や町に戻ってきます。
空をすばやく舞うツバメの姿は、春の象徴。
巣を作る場所を探して軒先を飛び交い、その姿を見ると「今年も春が来た」と感じる人も多いでしょう。
彼らの帰還は、自然界のリズムが整った証。
季節が確実に次の段階へ進んでいることを教えてくれます。
【清明】(せいめい)
すべてのものが生き生きとして、清らかに見える
月: 三月節 太陽黄経: 15°

初候 玄鳥至
(つばめきたる)
燕が南からやって来る
🏠 暮らし ― ツバメの来訪を喜ぶ家々
ツバメは“幸福を運ぶ鳥”として親しまれてきました。
昔から、家にツバメが巣を作ると「その家が栄える」と言われ、人々は軒下に巣を見つけるとそっと見守りました。
田んぼを飛ぶツバメは害虫を食べ、農家の味方でもあります。
人と自然の共生の象徴、それがツバメです。
このころは田畑の準備も本格化し、人々の暮らしにも“動き”が増える季節です。
🍲 旬 ― 春の香りと若芽の恵み
ツバメが渡るころ、春の味覚はさらに豊かになります。
たけのこ、うど、山うど、わらび、木の芽など、香りと歯ざわりのよい山菜が旬を迎えます。
魚では、桜鯛、メバル、あさり、しらすが出盛り。
桜鯛の塩焼きや若竹煮など、春の香りを映した料理が似合う時期です。


📚 文化 ― 玄鳥(げんちょう)に託す再生の象徴
中国の古書『礼記』では、ツバメは“陰陽の交わりをもたらす鳥”とされ、天地の調和を象徴する存在とされています。
日本でもツバメは稲作とともに暮らす鳥として大切にされ、春を運ぶ瑞鳥(ずいちょう)とされてきました。
春の空を舞うツバメは、希望と循環の象徴です。
🗓 暦 ― 太陽黄経15°、春の空に命満ちるころ
清明・初候は太陽黄経15°前後。
令和8年は4月4日で、春分からおよそ15日後。
風が軽く、空が澄み、春の安定期に入ります。
空を行き交うツバメの姿が、春本番の訪れを告げています。
💬 ひとこと
空をすいすいと舞うツバメの姿に、春の自由と希望を感じます。
自然が動き出し、人の心も軽くなる――
玄鳥至は、春の訪れを最も明るく告げる候です。
次の七十二候… 清明・次候

ひとつ前の七十二候… 春分・末候
