⚡ 春分・末候 雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)
目次
🌤 自然 ― 大地に響く雷、春の力が動き出すころ
春分の末候は「雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)」。
“雷が鳴りはじめる”という意味で、令和8年(2026年)は3月30日ごろ、太陽黄経はおよそ10度。
冬の寒気が完全に退き、大地に「陽の気」が満ちていく時期です。
この雷は、夏の激しい稲妻ではなく、遠くで「ごろごろ」と響く柔らかな春雷(しゅんらい)。
まだ冷たさを残す空気の中に、新しい季節のエネルギーが動き出す合図のように鳴り渡ります。
雷鳴とともに草木が勢いを増し、地上のすべてが春本番へと踏み出していきます。
【春分】(しゅんぶん)
太陽が真東から昇って真西に沈み、昼夜がほぼ等しくなる
月: 二月中 太陽黄経: 0°

末候 雷乃発声
(かみなりすなわちこえをはっす)
遠くで雷の音がし始める
🏠 暮らし ― 春の音を聞き、心を起こす
春雷が聞こえると、「もう冬は終わった」と感じる人も多いでしょう。
古くから日本では、雷の音を「田の神が目覚める音」と捉え、豊作の兆しとされてきました。
“雷鳴けば稲実る”ということわざもあり、雷は自然の恵みと結びついた存在です。
このころは、年度の締めくくりや新生活の準備も進む時期。
人もまた、雷に呼び覚まされるように心を動かし、新しい季節への意欲を取り戻します。
🍲 旬 ― 春の力を感じる恵み
雷が鳴るころ、春野菜と初夏の走りの食材が重なります。
たけのこ、そら豆、アスパラガス、山菜、そして新じゃが。
魚では、桜鯛、いさき、さわらなど、春の海の幸が勢揃いします。
“春雷”に呼応するように、味も香りも力強く、季節のエネルギーを体に取り込むのにふさわしい時期です。
香り野菜の和え物や、若竹煮などがぴったりです。


📚 文化 ― 雷の声にこめられた再生の象徴
「雷」は古来、“天地の気が交わる音”として神聖視されました。
日本神話では、雷神が天を動かし雨を呼ぶ存在。
春雷は、その年の豊穣を告げる吉兆とされ、田の神を迎える前触れでもありました。
俳句では「春雷」が春の季語。
季節の変わり目に響く自然の鼓動として詠まれます。
雷乃発声は、“静”から“動”へ――
季節のエネルギーがあふれ出す象徴です。
🗓 暦 ― 太陽黄経10°、春から初夏への端境
春分・末候は太陽黄経10°前後。
国立天文台の暦要項によれば、令和8年は3月30日ごろ。
昼の長さが確実に夜を越え、陽光が力を増していきます。
次の節気「清明」を目前に、自然界は次の段階へと進化します。
春雷はその「季節の扉を開く音」なのです。
💬 ひとこと
遠くで雷が鳴ると、空が呼吸しているように感じます。
それは、春の力が満ちていく音。
季節も心も、眠りから目覚めていく瞬間。
雷乃発声――春の息吹が空に響く候です。
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