秋の土用 ― 秋から冬へ向かう時間
「土用」と聞くと、多くの人がまず思い浮かべるのは夏の土用でしょう。
土用の丑の日。
うなぎ。
夏の暑さ。
そうしたイメージが強いため、「土用は夏だけ」と思われることがあります。
しかし、土用は一年に一度ではありません。
春・夏・秋・冬、それぞれの季節にあります。
秋の土用は、秋から冬へ移るころに置かれた期間です。
太陽が黄経207度に達したときから、立冬の前日まで。
およそ18日間にわたり、暦の上では秋の終わりと冬の入口をつなぎます。

🍂 秋の土用はいつ?
秋の土用は、
太陽黄経207度
に達したときに始まり、
立冬の前日
まで続きます。
立冬は太陽黄経225度。
したがって、
207度から225度まで
の18度分を太陽が進む期間が、秋の土用です。
日数にするとおよそ18日ですが、太陽の動きと暦日の関係によって年ごとに多少変わります。
そのため、「毎年必ず18日間」と固定して考えるより、
立冬前のおよそ18日間
として捉える方が正確です。
☀️ なぜ207度から始まるのか
二十四節気は、太陽の黄道上の位置を15度ごとに区切って一年を24に分けています。
一方、土用は二十四節気とは別の雑節です。
四季それぞれの土用は、次の季節が始まる「四立」の前に置かれます。
立春
春の始まり
立夏
夏の始まり
立秋
秋の始まり
立冬
冬の始まり
秋の土用は、このうち立冬の前にあります。
立冬225度から18度戻った、
太陽黄経207度
が秋土用入りの基準です。
つまり土用は、季節の途中に突然置かれた期間ではなく、次の季節へ入る直前の時間として位置づけられています。
🌿 土用は一年に4回ある
土用を一年の中に並べると、その仕組みが分かりやすくなります。
冬の土用
立春の前
春の土用
立夏の前
夏の土用
立秋の前
秋の土用
立冬の前
どの土用も、次の季節が始まる「立」の直前にあります。
このため、
土用=夏の行事
ではなく、
土用=四季それぞれの終わりに置かれた期間
として見ることができます。
夏の土用だけが特に有名になったため、ほかの三つはあまり意識されなくなっていますが、暦の仕組みとしては四季すべてに存在します。
🍁 秋の終わりと重なる期間
秋の土用が始まるころは、二十四節気では「寒露」から「霜降」へ進む時期と重なります。
朝夕の冷え込みが強まり、地域によっては紅葉が進みます。
秋の虫の声は少なくなり、渡り鳥の姿が見られるようになります。
田畑では収穫が進み、果物や木の実も秋の終盤の顔ぶれになります。
秋はまだ続いています。
けれど自然の中には、次の冬へ向かう変化が少しずつ現れています。
秋の土用は、そんな晩秋から初冬へ向かう時期にあります。
🌾 「季節の変わり目」とはどういうこと?
土用について、
季節の変わり目
という表現がよく使われます。
ただし、土用入りの日に自然が急に変わるわけではありません。
秋土用入りになったから、
急に寒くなる。
葉が一斉に色づく。
冬の天気になる。
というものではありません。
暦では、立冬という季節の大きな節目へ向かう前の期間を土用として区切っています。
実際の自然は、その期間の中で少しずつ変化していきます。
七十二候と同じように、
一日を境に季節が切り替わるのではなく、時間をかけて次の季節へ移っていく
と考えると分かりやすいでしょう。
🍎 秋の実りから冬の食卓へ
秋の土用のころは、食べ物にも季節の移り変わりが見えます。
柿。
りんご。
みかん。
栗。
梨の晩生品種。
地域によっては、さつまいもなど秋の収穫物も豊かな時期です。
新米も広く出回ります。
一方、気温が下がるにつれて、鍋物など温かな料理が恋しくなるころでもあります。
秋の実りを楽しみながら、食卓は少しずつ冬へ向かいます。
土用を暦だけの言葉として見るのではなく、こうした暮らしの変化と重ねると季節を実感しやすくなります。
🌞 二十四節気との関係
秋の土用は二十四節気ではありません。
雑節です。
しかし、その位置は二十四節気と密接に関係しています。
秋土用入り
太陽黄経207度
↓
霜降
太陽黄経210度
↓
秋の土用
↓
立冬
太陽黄経225度
という流れです。
ここで分かるのは、秋の土用は霜降より少し前に始まるということです。
「霜降が終わってから秋土用」という順番ではありません。
土用の期間の中に霜降が入り、そのまま立冬前日まで続きます。
この位置関係を知ると、秋の土用が「秋の終わりをまとめる期間」であることがよく分かります。
🍂 霜降を含む「秋の土用」
秋の土用の中で迎える二十四節気が、
霜降(そうこう)
です。
霜降は、霜が降り始めるころを表す節気です。
実際の霜の時期は地域によって異なりますが、暦の上では秋がかなり深まった位置にあります。
秋土用入り。
霜降。
そして立冬。
この三つを順に見ると、
秋の終盤 → 晩秋 → 冬の入口
という流れが分かります。


🌿 夏の土用との違い
夏の土用と秋の土用は、仕組みそのものは同じです。
どちらも次の「立」の前にあります。
夏の土用は、
立秋の前。
秋の土用は、
立冬の前。
違うのは、季節です。
夏の土用では、暑さの盛りから秋へ向かいます。
秋の土用では、秋の実りから冬へ向かいます。
「土用」という共通した期間でも、そのときに見える自然や暮らしはまったく違います。
四つの土用を比べてみると、一年を四季の循環として捉えやすくなります。
📚 土用を「凶日」としてだけ見ない
民間の暦では、土用についてさまざまな習慣や説明が伝えられています。
しかし、このサイトではまず、
土用が暦の中でどこに置かれているのか
という基本を大切にします。
秋の土用は、
太陽黄経207度から立冬前日まで。
それは「特定の日が吉か凶か」という話より前にある、季節を区切る暦上の期間です。
まずその仕組みを理解したうえで、昔の暮らしや季節感を見る方が、土用の位置づけを整理しやすくなります。
🌿 四季の土用をつなげて見る
一年の土用を順に追うと、
冬から春へ。
春から夏へ。
夏から秋へ。
秋から冬へ。
と、一年を一周します。
土用は、四つの季節の間にもう一つ別の季節を置いているわけではありません。
それぞれの季節が終わり、次へ進む直前の期間です。
秋の土用を単独で見るだけでなく、
冬の土用
春の土用
夏の土用
と並べることで、土用という雑節の仕組みがより分かりやすくなります。
🌿 本体記事へ戻る
このページでは、秋の土用を「四季の変わり目」という視点から掘り下げてきました。
具体的な秋土用の期間や、自然・暮らし・旬などについては、本体の雑節記事でまとめています。

本体では「今の季節としての秋土用」。
この深掘りでは「一年の暦の中で秋土用がどこにあるのか」。
この二つを合わせると、秋の土用を立体的に理解できます。
💬 ひとこと
秋の土用は、秋を終わらせる一日ではありません。
約18日という時間をかけて、秋から冬へ向かう期間です。
太陽黄経207度から始まり、
霜降を通り、
立冬の前日まで。
自然も暮らしも、その間に少しずつ姿を変えていきます。
夏だけではない四季の土用。
秋の土用は、晩秋と冬の間に流れる季節の時間を見つめる雑節です。




\ +深堀り です/

