🌸 立春・初候 東風解凍(はるかぜこおりをとく)
目次
🌤 自然 ― 東風が氷を解き、春の息が吹き始める
立春の初候は「東風解凍(はるかぜこおりをとく)」。
“東からの風が、凍った大地と氷を解かし始める”という意味です。
令和8年(2026年)は2月4日ごろ、太陽黄経はおよそ315度。
暦の上では春の第一歩を迎え、自然は静かに目を覚まします。
冷たい北風が和らぎ、かわって東風が吹きはじめると、雪や氷は少しずつ解けて土の香りが立ち上ります。
梅のつぼみがふくらみ、木々の枝には薄紅の気配。
春はまだ遠くても、確かに“季節が動き出した”ことを感じる頃です。
朝の光はやわらかく、鳥の声にもどこか明るさが混じります。
【立春】 (りっしゅん)
寒さも峠を越え、春の気配が感じられる
月: 正月節 太陽黄経:315°

初候 東風解凍
(はるかぜこおりをとく)
東風が厚い氷を解かし始める
🏠 暮らし ― 節分を越え、春の風を迎える
立春の初候は、「節分の翌日」から始まります。
豆まきで邪気を祓い、新しい春を迎えた家々では、窓を開けて春風を通し、気を改める「立春大吉」の風習が残ります。
この日に飾る「立春大吉」のお札は、新しい年の無病息災を願う縁起物です。
また、寒明けとともに体調を整える養生の時期でもあります。
旬の根菜や豆類を食べ、ぬくもりを感じる食事で心身を和らげる――
冬を越えた体を春に慣らす、そんな季節の過ごし方が昔から伝えられています。
🍲 旬 ― 春の気をいただく、やさしい味
東風が吹きはじめるこのころ、菜の花やふきのとうが顔を出し、食卓に春の香りを添えます。
豆腐や豆料理、煮物、白味噌仕立ての汁など、節分に続く“清めの味”が主役。
また、梅のつぼみを眺めながらいただく甘酒は、春を寿ぐ風習として親しまれてきました。
寒の間に熟成された味噌や醤油が香りを増し、春の料理の基礎を支える季節でもあります。


📚 文化 ― 東風(こち)に込められた春の情緒
「東風(こち)」は、春を運ぶ風の象徴。
菅原道真の詩に「東風(こち)吹かば にほひおこせよ 梅の花」と詠まれ、古くから“春を呼ぶ風”として愛されてきました。
冬の厳しさを越え、心を解かす風――
それが「東風解凍」の風情です。
この時期の俳句や和歌にも、“氷解く” “風やわらぐ” “梅ほころぶ”といった言葉が多く詠まれ、
自然の息づかいを繊細に感じ取る日本人の感性が息づいています。
🗓 暦 ― 太陽黄経315°、春の第一歩
立春・初候は太陽黄経315°前後。
冬至から数えておよそ45日が過ぎ、昼の長さが少しずつ伸びていく時期です。
国立天文台の暦要項によれば、令和8年は2月4日12時09分が立春。
その瞬間、暦の上では春が始まり、自然のサイクルも新しい一年の輪を描き始めます。
💬 ひとこと
まだ冷たい風の中にも、かすかなぬくもりを感じる。
氷が解ける音、光の角度、空の色――どれもが春の前奏のようです。
冬の名残を見送りながら、新しい季節の息吹をそっと迎える時期です。
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