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🌤 自然 ― しだいに「満ちてゆく」季節の気配
小満(しょうまん)は二十四節気の第8節気。
太陽黄経は60°、毎年5月21日ごろに訪れます。
立夏で芽吹いた命が、いよいよ目に見える形で膨らみ、季節がみずみずしい力を帯びる節目です。
「小さく満ちる」と書くように、万物が成長の勢いを増し、草木の緑は濃さを深め、動物も虫も活発になります。
麦は穂をふくらませ、田には水が入り、畑には夏野菜の苗がすくすくと根を張るころ。
自然界の息づかいが一気に大きくなる気配が感じられます。
季節は夏の本格化へ向かいます。
太陽は高く、日脚はのび、雨は植物を強く育てる肥料となります。

【小満】(しょうまん)
すべてのものがしだいにのびて天地に満ち始める
月: 四月中 太陽黄経: 60°

命の張り、光と水が充ちる季節
春の柔らかな気配はすでに後ろへ。
日差しは強まり、風はぬくみ、雨は初夏の匂いを含みます。
山は若葉から深緑色へ変化し、草いきれには湿り気のある香り。
田に水が張られ、空と山影を映す水鏡は初夏の象徴といえるでしょう。
カエルの声が響き、ミミズが土を押し上げ、鳥は巣作りと餌運びに忙しい。
自然は静かに、しかし確かな速度で夏に向かい進んでいます。
🏠 暮らし ― 夏支度の始まり、生命力を受け取る頃
小満は、家庭菜園や田畑の作業が増える時期。
苗を植え、水を引き、害虫や日照の加減を見ながら、夏の収穫に向けて営みが続きます。
風通しを良くし、衣替えを整え、梅雨前の湿気対策を始めるのにも最適。
気温が安定し、外での活動がしやすくなるため、山歩きや庭の手入れなど体力の消耗と相談しながら楽しみたい頃です。
昔から、小満は「命が満ちていく季(とき)」とも言われ、
水、土、光、風、そして食。すべてが一年で最も調和する期間ともいえます。
🍽 旬 ― 体を潤し、夏の活力をくれる食材
小満の頃には、初夏の野菜と果物が一気に出そろいます。
・新じゃが・新玉ねぎ・そら豆
・スナップえんどう・アスパラガス
・初夏の青梅、びわ
みずみずしく香りが強いものが多く、体に力を与えてくれる味覚です。
魚では初ガツオが脂をのせ、イサキやキスも旬。
さっぱりとした味わいは、暑さに慣れない体をやさしく整えてくれます。



📚 文化 ― 十三夜と若葉の季、祈りと成長の節気
小満は、古くから「五穀が満ち、生命が満ちる」象徴とされました。
麦の穂が育ち、田の苗は風に揺れ、蚕は桑を食み、絹の産業が動き始めます。
大きな収穫はまだ先ですが、“確かに増している命”を実感する期間でした。
俳句の季語では、若葉・青梅・麦の秋(=麦の収穫期)などがこの頃。
緑が濃さを増し、梅雨入り前の澄んだ空気と、成長の気配が季節を彩ります。
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