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【芒種】(ぼうしゅ)|穀物の命をまく季節

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【芒種】(ぼうしゅ)|穀物の命をまく季節

芒種(ぼうしゅ)は、二十四節気の第9番目。
穀物の種まきに最適とされる頃で、「芒(のぎ)」=稲や麦など穂の先にある細い毛を意味します。

太陽黄経75°。
雨が大地を柔らかくし、植物の成長を後押しする季節です。

梅雨入りが近く、空には重たい雲がかかり、湿気がまとわりつくように感じられます。
その一方で、田んぼには水が張られ、蛙の合唱が夜を満たし、田の緑は日ごとに濃さを増していきます。
芒種は、自然界も人々の生活も本格的に「夏」へ動き始める合図といえるでしょう。

梅雨入りの目印

芒種は、気象上の梅雨入りの時期と重なることが多く、
その年の天候を占う目安とされてきました。

湿気を恐れず、育ちゆくものを守る季節

作物にも暮らしにも気力や手間が必要となり、
季節の評価が大きく変わる転換点です。
湿り気は不便でありながら、次の実りに不可欠な条件でもあります。


🌾 自然 ― 命を育む雨と緑の季節

芒種の頃、植物は一気に勢いを増します。
日照と湿気が交差し、葉を広げ、茎を伸ばし、種子を宿す力を蓄える時期。
田んぼでは水面が風に揺れて光を返し、稲の苗はまっすぐに空へ伸びていきます。
梅雨の湿り気は憂鬱なイメージもありますが、作物の成長には欠かせない恵みです。

里山では、ホタルが飛び交い始めます。
清流のほとりに淡い光が点滅し、ゆったりと時間が進むような夏の気配――
芒種は、初夏の命が息づく景色に満ちています。

【芒種】(ぼうしゅ)

稲や麦などの(芒のある)穀物を植えるころ 
   
        月:四月中 太陽黄経:75°

🧺 暮らし ― 田植えの完了と夏支度

古くから日本の暮らしは農事のリズムに支えられてきました。
芒種は田植えの仕上げどきであり、農家にとって大切な節目です。

「早苗饗(さなぶり)」
田植えを終えた祝いの膳のこと。
苦労を労い、豊作を祈る行事として各地に残ります。

また、梅仕事の季節でもあります。
青梅を洗って塩に漬ける梅干し、梅シロップや梅酒――
湿気に負けない保存食づくりは、夏を生き抜く知恵そのもの。
芒種は、台所にも季節の営みがあふれます。


🍴 旬 ― 初夏の食の力

芒種の食卓には、梅雨の湿り気に対抗する「さっぱりとした力強い味」が並びます。

食材特徴・楽しみ方
新じゃが・新玉ねぎみずみずしく香りがよい。サラダや味噌汁で。
トウモロコシ甘さが強く、茹でたり焼いたり主役の味。
そら豆豆の香りが濃く、塩ゆでや炙り焼きで。
イワシ・アジ・カツオ夏の青魚は脂と旨味が増す。刺身やたたきで。
びわ・すもも口いっぱいに初夏の香りが広がる果物。

体調を崩しやすい湿気の季節。
利尿作用のある食材や酸味は、体を軽くしてくれます。

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📚 文化 ― 田植え歌と季語

芒種は「田のリズム」が生活の中心にあった時代、最も華やかな季節でした。
田植えの作業を助けるための 田植え歌(田唄) が日本各地で歌われ、
土地ごとの節回しや言葉が文化として伝えられました。

俳句では、
「田植」「早乙女」「ホタル」「入梅」
などが初夏を代表する季語。

静けさの中で生命のざわめきが増す季節――
芒種は、耳を澄ませると自然と人の声が響く時期でもあります。


💬 ひとこと

芒種は「夏に向かう力」を育てる季節。
芽吹きから育ちへ――自然の推進力を素直に感じる時期です。
忙しさに追われがちな初夏ですが、
水の光、田の色、風の匂いに目を向けてみると、
季節の営みが静かに、自分の心の中にも流れ込んできます。

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芒種のひとつ前…小満


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