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🌤 自然 ― 春から夏へ、季節の境い目
立夏は二十四節気の第7節。太陽黄経45度を指し、暦の上ではこの日から夏が始まるとされます。
春の柔らかな空気には青さが増し、日差しは鋭さを帯び、影は少し短くなります。
風は軽く乾き、衣替えを促し、草木は一段と勢いを増して伸び始めます。
田では田植えの準備が本格化し、麦畑はゆっくり色づき始めます。
山の木々は濃淡さまざまな緑を重ね、空は澄み渡り、雲は高く流れます。
鳥の姿は高い空へ、虫たちは地面から姿を見せ始め、人の暮らしもまた次の季節へと動き始めます。
「立夏」という言葉には、“夏の気配が立ちのぼる” という意味があります。
春と夏が重なり合うこの時期は、季節のリズムが加速する入口です。

【立夏】(りっか)
夏の気配が感じられる
月: 四月節 太陽黄経: 45°

🏠 暮らし ― 風薫る日、夏支度の始まり
立夏は衣替えの目安となる時期で、日傘・薄手のシャツ・扇風機が出番を迎えます。
湿度はまだ高くなく、外の風は軽く爽やか。
窓を開ければ、緑と土の匂いが深く広がり、外仕事にも心地よい頃です。
農の営みでは苗代づくりが進み、雨と日差しが苗を力強く押し上げます。
茶畑では新茶の香りが広がり、初夏の味が一年の最初の恵みとして口にのぼります。
この季節の“青い香り”は、人の暮らしにリズムと活気を与えるものです。
🍃 旬 ― 若葉の季節に育つ食材
日に透ける薄い緑の葉、やわらかな雨。
立夏は、野菜も果実も水分を含み、みずみずしさが増す季節です。
・新茶(八十八夜頃の摘みたて)
・そら豆・スナップエンドウ・新じゃが
・初夏の山菜(わらび・ぜんまい など)
飲み物なら、新茶やよもぎ茶が香り高い頃。
まだ暑さの蓄積はなく、体も軽く動く季節――季節の推進力を実感できる味わいです。
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📚 文化 ― 各地の祭りと「風薫る」の季語
俳句は引用しませんが(※方針どおり)、立夏を表すことばとして
「風薫(かぜかおる)」という表現が古くから知られます。
湿度の低い初夏の風が、草木の香りを含んで吹き抜ける――
それは日本人が季節の境い目に触れたときの実感をよく表しています。
茶摘み、端午の節供、田植え。この季節の行事は、
自然の変化と人の暮らしが常に連なってきた証でもあります。
💬 ひとこと
立夏は、季節の速度が「歩み」から「走り」へ変わる瞬間。
光は強くなり、緑は深まり、外へ出れば季節が追い越してゆく気配があります。
夏の入口――その加速感と息吹に、心が少し前へ押し出される頃です。
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