【小満・初候】蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)|5月21日
【小満】(しょうまん)
すべてのものがしだいにのびて天地に満ち始める
月: 四月中 太陽黄経: 60°


初候
蚕起食桑
(かいこおきてくわをはむ)
蚕が桑を盛んに食べ始める
小満のはじまりは、命が本当に勢いを持ち始めるような、そんな空気を感じるように思います。
「蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)」は、養蚕という人の営みとの関わりの中で、若葉の桑を盛んに食べ始めるという情景ではないでしょうか。
昔の農家では、蚕の飼育はとても大切な仕事でした。
家の中で「蚕棚(かいこだな)」を組んで、桑の葉を細かくちぎり、「お蚕さま」に食べさせるのが、子どもたちの仕事でもありましたね。
「シャリシャリ」「モゴモゴ」と聞こえる蚕の咀嚼音が、眠る前の家の静けさにまざっていたという話もあります。
今ではなかなか見かけることのない光景ですが、「自然と共にある暮らし」の記憶が、こうした候の由来なのだと思います。
実は、私の子供の頃、町には製糸場がまだあり、周辺には桑畑、そして、今から思えば、世代交代されたのかもしれないカイコをよく見かけました。私の祖母は、製糸場の女工から室長、寮長、そして、繭関係の公務機関への出向など、まさに蚕の仕事をしていたのです。
そんなこともあり、蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)には、子供の頃のことなどいろんなことが思い起こされるのです...。
🛒 2025年の小満:草木の勢いと満ちる気配
2025年のこの時期は、全国的に日照時間も安定し、植物の生長が一段と加速しています。
一方で、梅雨入り前の雨の日があるなど、庭の花木や山々の緑にも一気に活気が出てきました。
気温は東京でも25〜28℃と、夏の入り口を思わせる暑さも予報されています。
🌿 季節のひとこと
「起きて」「食べる」——。
蚕の姿は見えなくても、自然界の生命たちが動き出している音は、どこかでちゃんと聞こえている気がします。
自分の暮らしの中でも、小さな“満ちていく気配”を感じながら過ごしたいですね。
☆ 見つけました。「カイコのひみつ」。
農研機構、正式名称だと、「国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構」というと
ころに、季節の話題を取り上げてご紹介する連載コンテンツ「農研機構 「旬」の話題」という
のがありました。この機会に、カイコのこと、少し勉強しましょう。