【大暑・次候】 土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)7月28日頃

土潤溽暑(つち うるおいて むしあつし)

 七十二候で大暑の次候は、「土潤溽暑(つち うるおいて むしあつし)」。
意味は、「大地が湿り、蒸し暑さがまとわりつく頃」。
2025年では、7月28日ごろから8月1日ごろがこの候にあたります。

梅雨が明けた地域では強烈な日差しが照りつけ、一方で東北や北陸などではまだ湿気が抜けきらず、蒸し暑さが最高潮に達する時期です。


【大暑】(たいしょ)         月: 六月中  太陽黄経:120°

  夏の暑さがもっとも極まるころ                         

次候 土潤溽暑 

(つちうるおうてむしあつし)

土が湿って蒸暑くなる

「溽暑」という言葉が表す空気

 「溽暑(じょくしょ)」は、現代ではあまり使われませんが、息苦しいほどの蒸し暑さを表す古語です。
ただ暑いだけでなく、湿度が高く、風があっても体が涼しくならない――そんな日本の真夏の空気を見事に表しています。

夜になっても気温が下がりにくく、寝苦しさが増すのもこの頃の特徴です。


自然と暮らしの姿

 田んぼの稲は青々と茂り、野菜はどんどん実を太らせています。
入道雲が空高くわき上がり、午後にはにわか雨や夕立が増えるのもこの時期。
雷の音が響き渡り、大地も空も生命力にあふれています。

 一方で、人の体には疲れがたまりやすく、夏バテや熱中症への注意が欠かせません。
昔からこの時期は、冷たい水で体を冷やす習慣や、酸味や塩分を含んだ食事が意識的に取り入れられてきました。


この時期の食と恵み

 果物はスイカや桃、ブルーベリー、ぶどうが中心になり、冷たいスイーツやドリンクとしても活躍。
夏野菜のきゅうりやなすも豊富で、体の熱を取る食材として重宝されます。

 土用の丑の日が重なる年もあり、うなぎや梅干し、うどんなどで体力を整える食文化が根付いているのもこの頃です。


暑さをしのぐ工夫

 蒸し暑さの中で快適に過ごすには、昔ながらの知恵も役立ちます。

  • 打ち水で地面と空気を冷やす
  • すだれや風鈴で視覚・聴覚から涼を感じる
  • 麦茶や塩分を意識した飲み物で水分補給
  • 朝晩の涼しい時間に散歩や作業をする

「土潤溽暑」という言葉には、単なる暑さだけでなく、「暑さとどう向き合うか」という感覚が込められています。


ひとこと

 大地も空も潤いを帯びて、蒸し暑さが極まるこの時期。
自然の力強さとともに、人の体も「夏を生き抜く力」が試されるような数日間です。

 涼を工夫し、自然と寄り添いながら――この「盛夏」をしっかりと感じてみませんか。

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