大雨時行(たいう ときどきにふる)
七十二候で大暑の末候は、「大雨時行(たいう ときどきにふる)」。
意味は、「時おり大雨が降る頃」。
2025年では、8月2日ごろから6日ごろがこの候にあたります。
真夏の空に盛り上がる入道雲。晴れていたかと思えば、突然の雷鳴とともに激しい雨が降り出し、しばらくすると再び青空が広がる――そんなダイナミックな天気の移ろいが、この時期の特徴です。
【大暑】(たいしょ) 月: 六月中 太陽黄経:120°
夏の暑さがもっとも極まるころ

末候 大雨時行
(たいうときどきにふる)
時として大雨が降る
夏空の劇的な表情
この候に見られる大雨は、夕立やスコール、雷雨として現れます。
強い日差しで熱された大地が、上昇気流を生み、積乱雲を発達させるため、午後から夕方にかけて急な雨が降りやすくなります。
雨が過ぎると、空気が一気に冷え、地面や草木の温度が落ち着きます。
雷鳴や雨の音に包まれたあと、夕焼けが現れる光景は、夏ならではの情緒を感じさせます。
農作物と自然への恵み
この時期の大雨は、作物や大地にとっても恵みの水。
乾きがちな畑や田んぼを潤し、果物や野菜の生育を助けます。
一方で、局地的な豪雨や河川の増水には注意が必要で、昔から「雨を味方につける知恵」が農村の暮らしに根付いていました。
盛夏の食と、雨上がりの楽しみ
大雨が過ぎたあとの空気は、湿度が下がり一時的に過ごしやすくなります。
このタイミングで、冷えたスイカや桃を食べたり、軒先で風鈴を鳴らしながら夕涼みを楽しんだり――そんな光景がよく似合います。
ふるさと納税の返礼品でも、スイカやぶどう、ブルーベリー、冷菓など“涼”を感じられる品が人気の時期です。
季節の区切り、立秋へ
大雨時行の頃を過ぎると、暦の上ではまもなく「立秋」。
実際の暑さは続きますが、風の匂いや虫の声に、ほんのわずかな変化が訪れます。
入道雲が遠ざかり、空が少しずつ高く澄んでいく――そんな“次の季節の気配”が、夏の盛りの中に忍び寄ります。
ひとこと
「大雨時行」は、夏の力強さと、季節の移ろいの両方を感じさせる候。
突然の雨も、雷鳴も、夏の生命力の一部として受け止めつつ、雨上がりの涼しさや空の変化を楽しんでみてください。
この候を過ぎれば、季節はいよいよ「秋」へと向かい始めます。
立秋・初候は、涼風至(すずかぜ いたる)となります。