菊 ― 秋の終盤に咲く花

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菊 ― 秋が深まるころに咲く花

二十四節気「寒露」の次候は、

菊花開(きくのはなひらく)

です。

七十二候では、

「菊の花が咲く」

ころを表します。

秋の花としてよく知られている菊。

私たちの暮らしでは、庭や花壇、切り花、菊花展など、さまざまな場所で目にします。

けれど、菊という植物を改めて見ると、花の形も咲く時期も非常に多様です。

ここでは、七十二候に登場する「菊」を少し詳しく見ていきます。


🌼 菊はどんな植物?

菊は、キク科の植物です。

現在栽培されている菊には、非常に多くの園芸品種があります。

大輪の花。

小さな花。

一重咲き。

八重咲き。

丸くまとまったもの。

細い花びらが伸びるもの。

「菊」と一言でまとめるには難しいほど、姿に幅があります。

花の色も、白、黄、赤、紫などさまざまです。

その豊かな形や色によって、長く園芸植物として親しまれてきました。


🍂 なぜ秋に咲くのか

菊には、日が短くなることをきっかけに花芽をつくる性質を持つものがあります。

夏至を過ぎると昼の時間は少しずつ短くなり、秋になると夜が長くなっていきます。

その日長の変化などを受けて、秋に花を咲かせる品種が多くあります。

ただし、現在はさまざまな品種があり、栽培技術によって開花時期を調整することもできます。

そのため、

菊=必ず10月中旬に咲く

というわけではありません。

七十二候では、菊が秋の花として印象的な時期を季節の言葉にしています。


🌱 「菊花開」は開花予報ではない

七十二候を読むときには、植物の開花についても実際の自然と分けて考える必要があります。

気温。

地域。

品種。

日照。

栽培方法。

さまざまな条件で開花時期は変わります。

ですから、

菊花開の日になったから菊が咲く

のではありません。

暦では、

菊の花が秋の季節を象徴するころ

として捉えられています。

実際の菊を観察し、

「今年はもう咲いている」

「まだ蕾だった」

と暦と比べてみるのも面白いでしょう。


🌏 菊は日本生まれの花?

菊は日本文化と非常に深く結びついているため、日本原産の花のように感じることがあります。

しかし、栽培菊の歴史をたどると、中国から日本へ伝わった植物文化と深い関係があります。

日本に伝わった後、長い時間をかけて栽培や品種改良が行われ、多彩な菊文化が育ちました。

現在では、日本の秋を代表する花の一つとして定着しています。

つまり菊は、

大陸から伝わった植物が、日本の暮らしの中で独自に発展してきた花

として見ることができます。


🎎 菊と日本の暮らし

菊は、観賞用の花としてさまざまな場面で使われます。

秋には菊花展が開催される地域もあり、丹精込めて育てられた大菊などを見ることができます。

また、切り花としても非常に身近です。

一方で、「菊」という花には文化的な意味が多く重なっているため、記事では一つの象徴だけに結びつけない方がよいでしょう。

園芸。

季節の行事。

食用菊。

意匠。

さまざまな形で日本の暮らしと関わっています。


🍽 食べる菊もある

菊には、観賞用だけでなく食用として栽培されるものもあります。

食用菊は、花びらを食べるために育てられた菊です。

地域によっては、おひたし、酢の物、和え物などに使われます。

ただし、観賞用の菊をそのまま食用にできるという意味ではありません。

食べる場合は、食用として栽培・販売されているものを利用します。

花を見るだけでなく、食文化の中にも菊があることは、この植物の幅広さを感じさせます。


🎑 重陽の節句との関係

菊を語るときによく登場するのが、

重陽の節句

です。

旧暦9月9日の節句で、菊と結びついた行事として知られています。

ただし、現在の新暦9月9日はまだ暑い時期で、七十二候「菊花開」のころとは季節感にずれがあります。

これは旧暦と現在の暦の日付をそのまま重ねられないためです。

七十二候の「菊花開」と重陽の節句を結びつけて見る場合も、

同じ「菊」という季節文化を共有しているが、現代の新暦上の日付は一致しない

と整理しておくと分かりやすいでしょう。


🍂 なぜ寒露に「菊」なのか

寒露は、朝夕の冷えが深まり、秋らしさがはっきりしてくる二十四節気です。

その初候では、北から雁がやってきました。

そして次候では菊が咲きます。

空の渡り鳥から、

地上の花へ。

寒露という節気の中で、秋の姿が異なる自然を通して描かれています。

菊はその中でも、**目に見える「秋の花」**として置かれています。


📚 七十二候の中の花

七十二候には、さまざまな植物が登場します。

桃の花。

桜。

牡丹。

菊。

それぞれの花が、その時期の季節を象徴しています。

しかし、現在の実際の開花時期と常に一致するわけではありません。

気候や地域差だけでなく、七十二候が形成された歴史的背景もあります。

だからこそ、暦の言葉をそのまま「植物の開花カレンダー」として見るのではなく、季節を象徴する自然の表現として読むのがよいでしょう。


🌿 「菊花開」に戻ってみる

菊について知ったあとで、

菊花開

という言葉を見ると、ただ「花が咲いた」という以上のものが見えてきます。

日の長さが変わり、

朝夕が冷え、

秋が深まり、

その中で菊が咲く。

一輪の花にも、一年の太陽と季節の流れが関わっています。


💬 ひとこと

菊は、とても身近でありながら、奥行きのある花です。

庭に咲く小菊。

菊花展の大菊。

切り花。

食用菊。

さまざまな姿で暮らしの中にあります。

七十二候「菊花開」は、その菊が咲く姿から秋の深まりを感じる候です。

空を渡る雁から、

地上に咲く菊へ。

そして次の候では、季節のしるしはさらに身近な「虫の声」へ移っていきます。


\ +深堀り です/


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