虫 ― 冬へ向けて身を隠すころ

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虫 ― 秋が深まると姿を隠す生き物

二十四節気「秋分」の次候は、

蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)

です。

七十二候では、

「虫が土中に掘った穴をふさぐ」

ころを表します。

秋が深まり、気温が下がり始めると、身近で見かける虫の姿も少しずつ変わってきます。

けれど、虫たちはすべていなくなってしまうわけではありません。

姿を変えたり、活動を抑えたりしながら、次の春へつながっています。


🐛 「虫」といっても一つではない

七十二候では「虫」とひとまとめにされていますが、実際の昆虫にはさまざまな種類があります。

蝶。

蛾。

甲虫。

蜂。

蝉。

トンボ。

バッタ。

それぞれ生き方も、活動する季節も違います。

したがって、

秋になるとすべての虫が土へ潜る

わけではありません。

蟄虫坏戸は、昆虫学的に一種類の行動を説明した言葉ではなく、寒い季節を前に虫たちの活動が少しずつ静まっていく姿をまとめて表した季節の言葉です。


❄️ 虫はどうやって冬を越すのか

昆虫の越冬方法はさまざまです。

成虫で冬を越すもの

幼虫で冬を越すもの

蛹で冬を越すもの

卵で冬を越すもの

があります。

さらに、越冬する場所も異なります。

土の中。

落ち葉の下。

木の皮の隙間。

石の下。

建物の隙間。

種類ごとに、寒さをしのぐ方法があります。

七十二候の「虫が穴をふさぐ」という表現は、こうした多様な越冬を一つの季節の姿として象徴的に表していると見るとよいでしょう。


🌡 なぜ活動が鈍くなるのか

昆虫は、周囲の温度の影響を受けやすい生き物です。

気温が下がると、活動が鈍くなる種類が多くあります。

ただし、単純に「寒くなったから眠る」だけではありません。

日長や気温などの変化をきっかけに、成長や活動を一時的に抑える仕組みを持つ昆虫もいます。

そのため、越冬は単なる休息ではなく、季節に合わせて次の世代や次の春へつなぐための生活の一部です。


🕳 「土の中」だけではない

蟄虫坏戸という言葉からは、虫が地面に穴を掘って入る姿が思い浮かびます。

実際に土中で越冬する昆虫もいます。

しかし、すべてがそうではありません。

落ち葉の下で過ごすもの。

樹皮の隙間に入るもの。

枯れた茎の中にいるもの。

卵だけを残して成虫は寿命を終えるもの。

虫の冬越しはとても多様です。

ですから記事では、

虫は秋になると穴に入る

と一般化するよりも、

七十二候では、虫が身を隠して冬へ備える姿を「戸をふさぐ」と表している

と理解する方が自然です。


🌸 春の「蟄虫啓戸」

蟄虫坏戸を理解するうえで、ぜひ一緒に見たい候があります。

啓蟄の初候、

蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)

です。

秋の蟄虫坏戸では、

戸を閉じる。

春の蟄虫啓戸では、

戸を開く。

秋から冬へ。

冬から春へ。

半年ほど離れた二つの七十二候が、虫の一年を一つの物語としてつないでいます。


🍂 「蟄」という言葉

「蟄」は、寒い時期に虫などが地中に隠れ、活動を控えることを表す文字です。

二十四節気にも、

啓蟄(けいちつ)

があります。

「啓」は開く。

「蟄」は隠れている虫。

つまり啓蟄は、冬ごもりしていた虫が地中から出てくるころを表しています。

秋の「蟄虫坏戸」と、春の「啓蟄」。

同じ「蟄」という文字を追うだけでも、秋から冬、そして春へと続く暦の循環が見えてきます。


🌿 虫が消えたように感じる理由

夏には、蝉、蝶、トンボ、バッタなど多くの虫を目にします。

鳴き声も大きく、存在感があります。

秋が深まると、そうした虫の姿が少なくなったように感じます。

けれど、多くの虫は「消えた」のではありません。

別の姿で過ごしている。

見えない場所にいる。

次の季節へ命をつないでいる。

蟄虫坏戸は、目の前から姿を消した自然にも時間が続いていることを感じさせる候です。


📚 七十二候と実際の昆虫

七十二候は、昆虫の生態を厳密に分類するためのものではありません。

地域によって虫の種類も違います。

活動する時期も違います。

暖かな地域では、秋が深まっても活発な昆虫を見ることがあります。

そのため、

蟄虫坏戸の日になったから虫が冬眠を始める

という読み方はしません。

七十二候をきっかけに、

今年は虫の声がまだ聞こえる。

最近蝶を見なくなった。

落ち葉の下にはどんな虫がいるのだろう。

と実際の自然を観察する。

その違いを楽しむ方が、七十二候の使い方として面白いでしょう。


🌿 「蟄虫坏戸」に戻ってみる

昆虫の越冬を知ったあとで、

蟄虫坏戸

という言葉を見ると、その表現の面白さが分かります。

実際にはさまざまな方法で冬を越す虫たち。

七十二候では、それを、

戸を閉じて家にこもる

ような姿として描きました。

自然現象を人の暮らしに重ねて理解する。

そこにも、七十二候ならではの表現があります。


💬 ひとこと

秋になって虫が見えなくなると、季節が静かになったように感じます。

けれど、その見えないところで、虫たちは次の春へつながっています。

卵で。

幼虫で。

蛹で。

成虫で。

それぞれの姿で寒い季節を越えていく。

蟄虫坏戸は、見えなくなる自然の中にも、次の季節への時間が流れていることを感じる七十二候です。

そして春になれば、再び「戸を開く」候へつながります。


秋分の次候は「蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)」です。

虫が土の中に隠れ、
巣穴の入口を閉ざすころをいいます。

ここでいう「蟄虫」は、
地中に潜って冬を過ごす生き物を指します。

昆虫だけでなく、
小さな動物も含む広い意味の言葉です。


\ +深堀り です/


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