小暑の初候は「温風至(あつかぜいたる)」です。
熱を帯びた風が届くころをいいます。
梅雨が明けきらない空の下でも、
風の質が変わり始める時期です。
「温」とは何を指すのか
ここでいう「温」は、ぬるいという意味ではありません。
冷たさを含まない、
明らかに熱を帯びた空気を指します。
春の風はやわらかく、
湿りを含んでいても軽さがあります。
しかし小暑のころになると、
風は重く、熱をまとい、肌にまとわりつくようになります。
この質の変化が、候として選ばれました。
なぜ“風”なのか
小暑は、暑さが本格化する入口です。
まだ大暑ではありませんが、
熱の気配が明確になります。
気温そのものよりも、
体感として最も早く変わるのは風です。
風が変わると、
季節が変わったことをはっきり感じます。
七十二候は、
温度計ではなく、体で感じる変化を拾いました。
その代表が「温風」です。
梅雨との関係
小暑のころは、
地域によってはまだ梅雨の最中です。
しかし、雨の合間に吹く風が、
それまでとは違います。
湿りは残しつつ、
熱が加わります。
空気は重く、
雲の動きも鈍くなります。
この変化は、
夏の本格到来を予告するものです。
太陽高度との関係
小暑は、夏至を過ぎたあとに訪れます。
日照時間はわずかに短くなっていますが、
太陽高度は依然として高い状態です。
地面は十分に熱を蓄え、
放射熱も増えます。
その結果、
風そのものが温まります。
温風至は、
太陽の位置と地表の蓄熱が結びついた現象です。
小暑という節気の意味
小暑は「暑さが少しずつ強まる」という意味です。
いきなり猛暑になるわけではありません。
しかし確実に、
空気は変わります。
温風は、
その最初の兆しです。
目に見えないが、
誰もが感じる変化。
風の変化は生活に直結する
農作業において、
風の変化は重要でした。
乾燥、蒸れ、病害。
風向きや風の質は、作物に影響を与えます。
温風が吹くころ、
草木の勢いも変わります。
夏型の植物が優勢になり、
水の管理がより重要になります。
小暑三候の入口として
小暑の三候は、
温風至
蓮始開
鷹乃学習
と続きます。
最初に置かれているのが、
「風」です。
花でも鳥でもなく、
空気の変化。
これは、小暑が
目に見える出来事よりも前に訪れる、
体感の節気であることを示しています。
まとめ
・温風は熱を帯びた空気を指します
・梅雨の中でも風質が変わります
・地表の蓄熱と太陽高度が関係します
・小暑の入口を示す体感の候です

