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処暑・末候 禾乃登…稲や穀物が実りの時期を迎える
七十二候で処暑の末候は、「禾乃登(こくものすなわちみのる)」。
稲をはじめとする穀物が実り、収穫の時期を迎えることを表します。
2025年では、9月2日(火)~9月6日(土)ごろにあたります。
「禾(のぎ)」は稲や麦など穂のある穀物を意味し、「登」は実る・成長が極まるという意味です。田畑では黄金色の稲穂が風に揺れ、農家にとっては一年の労が報われる季節の到来です。
【処暑】(しょしょ) 月: 七月中 太陽黄経:150°
暑さがおさまるころ

末候 禾乃登
(こくものすなわちみのる)
稲が実る
実りの風景と日本の暮らし
処暑・末候は、田畑が黄金色に染まり、農村では稲刈りや収穫の準備が本格化します。かつては稲の実り具合によって、その年の豊作や凶作を占ったもので、五穀豊穣を祈る秋祭りの準備もこの時期から始まります。
農家にとっては一年の総決算ともいえる時期で、稲穂の重みに耐えながら風に揺れる光景は、まさに日本の原風景のひとつです。また、収穫された新米は秋の味覚として、地域ごとの行事や食文化を彩ります。
この時期の気象
暦の上では秋真っ盛りですが、日中はまだ30度を超える日もあります。ただし湿度は下がり、朝夕は過ごしやすくなります。台風の接近や秋雨前線の影響で天候が不安定になることも多く、収穫期の農作物にとっては注意が必要な時期です。
2025年は夏からの高温傾向が続き、稲の登熟が早まりそうです。一方で、台風の動きが例年より活発で、収穫前の圃場管理に気を使う農家も多いでしょう。
動植物と自然の変化
- 早朝の空気が一層ひんやりする
- 稲穂や大麦、小麦が実り、収穫期を迎える
- すすきの穂が顔を出し始める
- 赤とんぼが里山から田んぼへ
- 彼岸花の芽が地表に顔を出す
秋の行事・風物詩
この時期には、各地で秋祭りや収穫祭の準備が進みます。また、二百十日(立春から数えて210日目)にあたることが多く、台風襲来の警戒日としても知られています。
- 稲刈り開始:早生品種から順次収穫
- 秋祭り・収穫祭の準備:神社での五穀豊穣祈願
- 二百十日:台風や強風の備えを確認
- 防災訓練:地域ごとに実施されるケースも
果物と食の旬
処暑・末候は果物のバリエーションが豊富で、夏の名残と秋の味覚が同居する時期です。ぶどうや梨が最盛期を迎えるほか、新米の収穫と同時に秋の味覚が食卓を賑わせます。
- ぶどう(巨峰・シャインマスカット):甘みと香りが最高潮
- 梨(豊水・あきづき):みずみずしさと爽やかな甘さ
- イチジク:濃厚な甘みの完熟果
- 早生りんご(つがる):甘酸っぱく爽やか
- 新米(コシヒカリなど):炊きたての香りが格別
ふるさと納税では、新米と旬の果物をセットにした返礼品や、精米したてのブランド米が人気です。


ひとこと
「禾乃登」は、夏から秋への季節の橋渡し。収穫の喜びと、台風や秋雨への備えが交錯する時期です。黄金色の田園風景を眺めながら、日本の四季の豊かさを実感できる候でもあります。
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