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処暑・次候 天地始粛…ようやく暑さが鎮まる
七十二候で処暑の次候は、「天地始粛(てんちはじめてさむし)」。
夏の暑さがしだいに和らぎ、大地も空気も少しずつ涼しさを帯びてくる頃を指します。
2025年では、8月28日(木)~9月1日(月)ごろにあたります。
「粛」という字は「つつしむ」「おさまる」という意味を持ち、天地が粛然と落ち着いていく様子を表します。季節の移ろいの中で、夏の熱気が退き、澄んだ空気とともに秋が忍び寄る時期です。
【処暑】(しょしょ) 月: 七月中 太陽黄経:150°
暑さがおさまるころ

次候 天地始粛
(てんちはじめてさむし)
ようやく暑さが鎮まる
秋の気配と日本の暮らし
処暑・次候は、昼間こそ残暑が残るものの、朝夕の風が涼しく感じられるようになります。日差しはやや柔らぎ、夜空には夏の星座と秋の星座が同時に見える時期です。
空は高く澄みわたり、雲は秋らしい鱗雲や筋雲が増えてきます。農村では稲穂が黄金色に色づき、果樹園ではぶどうや梨の収穫が最盛期を迎えます。
古くから「秋来ぬと目にはさやかに見えねども…」と詠まれるように、見た目や肌感覚ではっきりと季節の変化を感じ取るわけではありませんが、日々の暮らしの中に少しずつ秋が混じり始めます
この時期の気象
昼間はまだ真夏日が続く地域もありますが、湿度が下がる日が増えて体感は過ごしやすくなります。
台風シーズンの真っただ中で、大雨や強風による農作物への被害が心配される時期でもあります。
また、昼夜の気温差が拡大し始めるため、体調を崩しやすいタイミングです。気を付けましょう。
動植物と自然の変化
- 稲穂が色づき、頭を垂れ始める
- 赤とんぼが群れで飛び交う
- 夜には虫の音が一段と賑やかに(スズムシ・マツムシ)
- 空に鱗雲や筋雲が増える
- 日没後の空が茜色から群青色へと美しく変化
初秋の行事・風物詩
この時期は、夏祭りの名残りと秋の始まりが交錯します。地域によっては防災訓練や秋祭りの準備が始まり、暮らしが秋モードへと切り替わっていきます。
- 防災訓練:9月1日の防災の日に向けた準備や地域訓練
- 花火大会のラスト開催:一部地域では8月末に実施
- 秋祭りの準備:神社や地域団体で始動
- 夏休みの宿題・自由研究の追い込み:小中学生にとっては慌ただしい時期
果物と食の旬
処暑・次候は、夏の果物と秋の果物が同時に楽しめる贅沢な時期です。ぶどうや梨のほか、早生りんごや完熟イチジクも出回ります。
- ぶどう(巨峰・シャインマスカット):甘みが乗り、房が大きくなる
- 梨(豊水・あきづき):みずみずしく、香りも豊か
- イチジク:完熟果が市場に出回る
- 早生りんご(つがるなど):爽やかな酸味と甘み
ふるさと納税では、旬のぶどうや梨のほか、秋の味覚詰め合わせも人気です。冷蔵便で届く完熟果実は贈答用としても喜ばれます。


ひとこと
「天地始粛」は、暑さが和らぎ、空気が澄んでくる節目。夏の終わりを惜しみながら、実りの秋を迎える準備を整える頃です。
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