🌸 節分 ― 季節を分ける日、春を迎える心の儀式
目次
🌤 自然 ― 冬と春の境目に立つ
節分は、季節を分けるという意味を持ちます。
本来は立春・立夏・立秋・立冬のそれぞれの前日を指していましたが、
今では一年の節目である「立春の前日」、つまり冬から春への移り変わりを意味する日として定着しています。
令和8年(2026年)の節分は2月3日。
暦の上では冬の終わりとされるこの日、寒さの中にも陽射しのやわらかさが戻り、梅のつぼみがほころび始める地域もあります。
大地はまだ眠りの中にありながらも、春の息吹が確かに地表へと届き始める――
節分はそんな「静かな季節の分かれ目」です。

【節分】(せつぶん)
立春の前日。
季節の分かれめのことで、もとは四季それぞれにあった。
🏠 暮らし ― 厄を払い、新しい春を迎える
節分といえば「豆まき」。
古くは平安時代の宮中行事「追儺(ついな)」に由来し、疫病や悪霊を祓う儀式として行われていました。
炒った大豆をまきながら「鬼は外、福は内」と唱えるこの風習は、冬の厳しさとともに邪気を追い払い、春の福を招く願いが込められています。
豆を年の数だけ食べるのは、健康と長寿を願うもの。
また、最近では「恵方巻(えほうまき)」も節分の定番となりました。
その年の恵方――つまり歳徳神(としとくじん)がいる方向を向き、願いごとをしながら無言で巻き寿司を丸かじりする風習です。
令和8年の恵方は「南南東」。
家族で笑いながら新しい春を迎える、心の行事となっています。
📚 文化 ― 鬼と福、陰と陽の境界
節分の鬼は、季節の変わり目に生じる邪気や疫病の象徴。
人々はそれを外へ追い出すことで、目に見えない不安や寒さの影から抜け出そうとしました。
豆をまく行為には、穀物の霊力によって鬼を退けるという古来の信仰が残っています。
また、地方によっては「柊鰯(ひいらぎいわし)」を玄関に飾ります。
柊の葉の棘で鬼の目を刺し、鰯の匂いで鬼を退散させる――
日本人らしい素朴な魔除けの知恵です。
節分は、単なる年中行事ではなく、
陰と陽の境界に立ち、「新しい年の始まりに清めを行う」という、心の再生の儀式なのです。
🗓 暦 ― 立春前日、旧暦の年越し
節分は旧暦では「年越し」にあたります。
翌日の立春が旧暦の「新年」にあたるため、節分の夜は一年の締めくくり――つまり“除夜”のような意味を持っていました。
冬の土用から続く静かな養生期間を経て、いよいよ春が始まる。
節分はその最終日であり、自然と人の心が“切り替わる瞬間”です。
💬 ひとこと
冷たい空気の中に、ほんのりと春の香りが混じるころ。
豆の音とともに笑い声が響き、新しい年を迎える清々しい気配に包まれます。
厄を払い、心を軽くして、春を迎える――
節分は、日本人の暮らしの中に息づく「再生の祈り」の日です。
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