暦に刻まれた候の意味…雷が鳴り響かなくなる
秋分の初候は「雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)」といいます。
夏の盛りに鳴り響いていた雷が次第におさまり、雷鳴を聞かなくなる頃を示す言葉です。
稲妻のエネルギーも次第に収まり、大地は収穫の秋を迎える支度に入ります。
旧暦の感覚では、ここから「本格的な秋の空気」への移行が始まる節目です。
【秋分】(しゅうぶん) 月: 八月中 太陽黄経:180°
太陽が真東から昇って真西に沈み、昼夜がほぼ等しくなる

初候 雷乃収声
(かみなりすなわちこえをおさむ)
雷が鳴り響かなくなる
季節の景色と暮らし
この時期、昼夜の長さがほぼ等しくなり、夜が少しずつ長く感じられます。雷雲が減る一方で、空気は澄み渡り、日没後の夕焼けや夜空の星々が鮮明に見えるようになります。
田畑では稲穂が実り、収穫の準備に入る農家も多くなります。庭先や野原では彼岸花が赤く咲き誇り、まさに「彼岸の頃」を象徴する景色が広がります。
虫の音も盛んになり、耳を澄ますとコオロギや鈴虫の声が夜長を彩ります。
2025年の気象傾向
8月発表の長期予報では、2025年の9月下旬は、全般的に気温が平年並みかやや高めと予想されています。
昼間はまだ暑さが残る地域もありますが、夕方から夜にかけては空気がひんやりと感じられる日が増えてくるでしょう。
ただし、秋雨前線や台風の影響が強まる時期でもあるため、局地的な大雨や強風への注意が必要です。雷鳴が減るとはいえ、気圧の変化に伴う短時間の雷雨にはまだ油断できません。
ひとこと
「雷乃収声」は、自然の音の移り変わりに季節を感じ取る候です。
夏を象徴する雷の轟きが姿を消し、かわりに虫の声や風の音が耳に届くようになると、人々は秋の深まりを実感します。
残暑が長引く中でも、彼岸花や稲穂、夜空の星々など秋の情景がしっかりと現れる時期。
自然の静けさと豊かさを感じつつ、台風や雨への備えを怠らず過ごしたい候です。
次の七十二候… 工事中
ひとつ前の七十二候…
