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暦に刻まれた自然の息づかい 鶺鴒(せきれい)が鳴き始める
「鶺鴒鳴(せきれい なく)」は七十二候による白露の次候で、例年9月12日ごろから17日ごろを指します。
鶺鴒(せきれい)とは川辺に住む小鳥で、秋の入口にその高らかな鳴き声が響き渡る、それを捉えた季節感豊かな言葉です。
まだ夏の名残はあるものの、早朝や夕刻などに澄んだ気配とともに虫の声と交じり合う渓流の小鳥のさえずりは、秋の幕開けを深く感じさせます。
【白露】(はくろ) 月: 八月節 太陽黄経:165°
しらつゆが草に宿る

初候 鶺鴒鳴
(せきれい なく)
鶺鴒(せきれい)が鳴き始める
山里から聞こえる秋の足音
田畑では稲刈りの機械音が響き始め、農村では収穫の実感が強まってきます。
野山ではススキが風になびき、野菊や萩が咲き、目にも季節の装いが深まったことを教えてくれます。
セキレイの鳴き声はそんな自然の移ろいを背景に、秋の訪れを運ぶ案内役。
この鳴き声が聞こえる頃には、自然の彩りも四季の「秋」へと確実に移っているのです。
3. 暮らしのなかの“秋を探す”時間
- 衣服の切り替え:朝夕の空気の冷えに応じて長袖や羽織り物を取り入れ始めたい時期です。
- 秋の味覚:梨、ぶどう、栗、サンマなど、旬の食材を取り入れ、食卓で季節を楽しむタイミング。
- 季節行事との兼ね合い:月見、敬老の日、秋祭りなどと重なります。散策や庭仕事など、暮らしに「秋の音風景」を取り込むのもおすすめです。
- 虫の音や風の変化に気づく感性:涼風や虫の声など、日常の中にある自然の“小さなサイン”を意識することで季節を生きる実感が高まります。
2025年の気象傾向
2025年8月発表の気象庁の3か月予報では、例年より気温が高めとされており、昼間の気温は引き続き高く、夏の余韻を感じやすい状況です。
朝夕には秋らしさが訪れる一方、残暑が長引く可能性が高まっています。
また、台風や秋雨前線による大雨リスクも継続。特に南西諸島や日本海側では、局地的な豪雨に備える必要があります。台風シーズンに入りますので、雨具や避難経路の確認を忘れずに。
ひとこと
「鶺鴒鳴」は、ただの小鳥の鳴き声ではなく、秋という季節の“始まり”を告げるメッセージです。
2025年は気温が高くなる見通しで、秋の色の前に夏の残影を強く感じるかもしれません。
だからこそ、澄んだ風や虫の声、夕暮れの色彩など、自然の小さな変化に心を寄せることで、秋の豊かな時間がさらに深まります。
“音の秋”に耳をすませることで、季節との深い共振が生まれるでしょう。
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