【夏至・末候】 半夏生(はんげしょうず)
目次
🌿 自然 ― 半夏生ず、空気が「夏本番」に切り替わるころ
半夏生(はんげしょうず)は、二十四節気「夏至」の末候。
例年 7月2日ごろから6日ごろ にあたる時期で、暦のうえでは**「本格的な夏の入口」**を告げる合図とされています。
もともとの語源は、
- 漢方にも用いられる**「半夏(からすびしゃく)」という薬草が生え出すころ**
- あるいは、葉の半分が白くぬられたように見える植物**「半夏生(はんげしょう)」の花期**
など、いくつかの説があります。
いずれにせよ、田の畦や湿地にひっそりと咲く小さな草花が、季節の区切りの目印になってきた、というところがなんとも「旧暦らしい」感覚です。
空を見上げると、入道雲がむくむくと立ち上がり、空の青さは一段と濃くなります。
一方で、地表近くには湿った熱気がまとわりつき、日中は少し外に出るだけで汗ばむほど。
夕立や雷雨が急にやってくることも多くなり、空模様も気温も「夏のスイッチ」が完全に入ったような頃合いです。
【夏至】(げし) 月: 五月中 太陽黄経: 90°
昼の長さが最も長くなる

末候 半夏生 (はんげしょうず)
烏柄杓が生える
※カラスビシャクとよみ、半夏の別名
(写真:photoACより)
🏠 暮らし ― 田植えの区切りと、ひと息つくタイミング
半夏生は、農作業の大きな区切りとしても知られています。
「半夏生までに田植えを終える」
という言い伝えは、日本各地の農村で長く守られてきました。
半夏生を過ぎてから田植えをすると、稲の育ちが悪い、台風の時期に稲刈りがずれ込む――といった理由から、暦を目安に田の仕事を組み立ててきたのです。
田植えを終えた農家では、この頃に**「半夏生休み」**のような小さな一区切りをとることもありました。
長く続いた水仕事・重労働をねぎらい、体を休めるための節目でもあったのでしょう。
現代の暮らしでは、田植えに直接かかわっていない人が多いとはいえ、
- 年間スケジュールの上半期の終わり
- 夏休み・お盆前に向けた準備期間
- 暑さが本格化する前に、生活リズムや健康管理を整えるタイミング
といった「切り替えの目安」として、この時期を意識してみるのもよさそうです。
🍽 旬 ― タコと夏野菜で、暑さに負けないからだづくり
半夏生には、地域ごとにさまざまな食の風習が伝わっています。
なかでも有名なのが、関西を中心とした「半夏生にタコを食べる」習わしです。
- 田に植えた稲が、タコの足のようにしっかり根を張りますように
- 力仕事を終えた体に、栄養豊富な海の幸でスタミナを
という願いが込められているとされます。
また、日本海側では焼きサバを食べる地域もあり、
「半夏生=農作業を労うごちそうの日」というイメージが今も残っています。
食材としても、この頃はまさに夏野菜と初夏~盛夏の魚介が重なる、おいしい季節です。
- トマト、キュウリ、ナス、ピーマン、ゴーヤなどの夏野菜
- トウモロコシ、枝豆、新ジャガ、新玉ねぎ
- イワシ、アジ、スルメイカ、真ダコ など
さっぱりした酢の物やマリネ、冷やしうどん・そうめん、
冷やし茶碗蒸しの具にタコと枝豆を合わせるなど、
「塩分+たんぱく質+野菜」の組み合わせで、
湿度と暑さに負けない体づくりを意識したい時期です。


📚 文化 ― 暦のうえの「夏の峠」、働き方を見直す合図
半夏生は、二十四節気のなかでも実務的な暦感覚が強く残る節目といえます。
- 田植えを終える目安
- 梅雨明けが近づいているサイン
- 暑さと湿気がピークに向かう「前ぶれ」
として、農業だけでなく、さまざまな仕事や生活の計画に活かされてきました。
現代でも、
「この頃から熱中症が一気に増えてくる」
「冷房との付き合い方を本格的に考える」
といった意味で、健康面の区切りとして意識しておきたいタイミングです。
手帳やカレンダーに小さく「半夏生」と書き添えておくだけでも、
そろそろ生活のリズムを“夏モード”に調整しよう
と気づきを与えてくれます。
💬 ひとこと
半夏生は、派手な年中行事ではありませんが、
**「がんばりすぎをいったんリセットする」**ための、静かな節目のような日です。
田んぼの稲が風にそよぐ様子を思い浮かべながら、
タコや夏野菜の料理をひと皿用意して、
「ここまでよく頑張った」と自分や家族をねぎらう――。
そんな小さな儀式を暮らしに取り入れてみると、
旧暦の知恵が、現代の生活の中でもそっと息を吹き返してくれるかもしれません。
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