🌿 【夏至・次候】菖蒲華(あやめ はなさく)ー あやめの花ひらき、梅雨の光に紫が映えるころ
目次
🌼 自然 ― 水辺に色を灯す紫の季節
夏至の次候は 「菖蒲華(あやめ はなさく)」。
あやめ・花菖蒲・杜若──三者を厳密に見分けるのは難しいですが、
この頃に咲き誇る花は、水辺を照らすように色濃く、雨の季節に凛と立ちます。
梅雨空は重く、雲は低く垂れ込め、風は湿り気を含みます。
田の畦(あぜ)には水鏡のような水面が広がり、その縁に紫の花が風に揺れ、
静かで淡い雨音とともに、初夏の色がゆっくりと深まっていきます。
雨に濡れた花弁は光を吸い込み、晴れ間には強い日差しを弾く──
この花の芯の強さが、まさに「梅雨を生きる植物の象徴」です。
【夏至】(げし) 月: 五月中 太陽黄経: 90°
昼の長さが最も長くなる

次候 菖蒲華
(あやめはなさく)
あやめの花が咲く
🏠 暮らし ― 雨とともに暮らす知恵
田植えの仕上げ、畑では草の勢いが増す時期。
湿度は高く、洗濯物は乾きにくい。
古くから人々は「風通し」を何より大切にしてきました。
・戸を細く開けて風を通し、湿り気を逃がす
・畳や衣類に晴れ間をぶつける
・雨が続けば火を焚き、湿りを払う
梅雨は、家と体の調子が揺らぎやすい季節。
食中毒を避けるため保存食や調理方法にも工夫が生まれ、
日々の暮らしは季節と共に知恵を育ててきました。
🍽 旬 ― 梅雨の台所に並ぶもの
魚では アジ・イワシが脂を増し、鱧(はも) が初夏を知らせます。
野菜は 新じゃが・きゅうり・ししとう、そして梅仕事が本番に入る頃。
炊き立てのご飯にアジのたたきと新生姜を添えれば、雨の夜を照らす一膳に──
湿りを祓う酸味や香りは、梅雨時の体にやさしく効きます。


📚 文化・ことば
「菖蒲」には 尚武=武を尊ぶ の意味が重なるため、
端午の節句にも通じる縁起の花。
雨の続く季節にあって、
しなやかに立つ花の姿は 静かな強さ の象徴でした。
湿りに負けず、美しさを保つその姿に、
古人は「季節を生き抜く気概」を見たのかもしれません。
💬 ひとこと
雨音の中でひらく花は、
晴れの日よりも色が深く見える気がします。
光が弱い分だけ、紫は濃く、存在は強く──
梅雨の景色を支えるのは、こうした「小さな静けさ」なのだと思います。
次の七十二候…

ひとつ前の七十二候…
