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【芒種・初候】蟷螂生(かまきりしょうず)

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🌾 【芒種・初候】蟷螂生(かまきりしょうず)

芒種(ぼうしゅ)は、二十四節気の第九節気。
太陽黄経75°、令和8年(2026年)は 6月5日 にあたります。

「芒(のぎ)」とは、稲や麦など穀物の穂先にある硬い毛のこと。
稲作農耕の本格的な季節に入り、田植えや麦秋の収穫で大地がもっとも動きはじめる頃です。

その芒種の初候が 「蟷螂生(かまきりしょうず)」
初夏の陽光を浴びて、草むらに小さなカマキリの子が生まれる時季を表しています。
田んぼの畦道や庭先の草むらに、米粒ほどの体でちょこちょこと歩く小さな命。
この姿に、夏の始まりを感じた人は多いのではないでしょうか。

「蟷螂生」は、

夏の命が動き出す合図
ともいえるでしょう。



🐾 自然 ― 小さなハンターの誕生

カマキリは、晩秋に卵のう(卵嚢)を産み、冬の間は硬い殻で寒さから身を守ります。
春を越え、初夏の陽気が満ちる頃、数百匹のカマキリの赤ちゃんが一斉に孵化します。

危険を避けるため、孵化した瞬間からすべて自立。
親に守られることはなく、その場で即座に生きるための戦いが始まります。
その凛とした生命力は、芒種の季節の象徴ともいえるでしょう。

幼体はまだ薄い色で小さく、羽根もなく、細く軽やか。
風に揺れる草の上や石垣の隙間で獲物を狙う小さな姿は、
「夏の命の芽吹き」そのものです。

芒種(ぼうしゅ)
   稲や麦などの(芒のある)穀物を植える         
       月: 四月中  太陽黄経: 60°
初候
螳螂生 (かまきりしょうず)

螳螂が生まれ出る

🏡 暮らし ― 田んぼと畑が動きはじめる

芒種は、農作業が最も忙しくなる節目。
梅雨入り前の晴れが続く短い時間を逃さず、
田植えや麦刈りが一斉に進みます。

古くから、農家にとって芒種は

「手が止まらぬ季節」

といわれてきました。
雨が続く前に作業を終えられるかどうかが、その年の収穫を左右します。

野菜では、そら豆・新じゃが・新玉ねぎ・アスパラガスなど、
初夏らしいみずみずしい食材が食卓を彩ります。
魚では、イサキ・アジ・初夏のカツオ。
果物では、びわ・さくらんぼ・すいかの走り。

梅雨を前に、体にすっと染みわたる酸味や、
さっぱりとした旨味のある食材が好まれる時期でもあります。


🌱 季節の味覚 ― 初夏を楽しむ

芒種の頃は、体が湿気に負けやすくなります。
古来より、梅酢・らっきょう酢・柑橘など酸味を取り入れ、
気を引き締め、体調を整える食文化が育まれました。

「酸味は夏の養生」

梅しごとが始まるのも、ちょうどこの頃です。

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📚 文化 ― 小さな命から学ぶ強さ

古い文献や歳時記のなかで、カマキリは
勇気・忍耐・覚悟の象徴 とされました。
どんなに小さくても、前足を振り上げて立ち向かう姿は、
初夏の空気に似合う凛とした力強さを感じさせます。

俳句の世界では「蟷螂」は夏の季語。
初夏の光のなか、細い体で立つ姿に、
生命の張りと静かな緊張感を読み取る句が多く残されています。


💬 ひとこと

米粒のような小さなカマキリの姿を見つけると、
ふと足を止めて眺めてしまうものです。
大きくも強くもない命が、精いっぱいに世界を切り開くその瞬間。

季節の入口に立つ私たちに、

「前に進む力は、すでに自分の中にある」
と教えてくれているように感じます。

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