小雪の初候は「虹蔵不見(にじかくれてみえず)」です。
虹が姿を見せなくなるころをいいます。
虹は、雨のあとに太陽の光が水滴に当たることで現れる現象です。
しかし季節が進み冬に近づくと、虹は次第に見られなくなります。
この変化が、季節の節目として七十二候に取り入れられました。
虹が現れる仕組み
虹は、太陽の光が空中の水滴を通過することで生まれます。
光は水滴の中で屈折し、
内部で反射し、
再び外へ出るときに分かれます。
その結果、
赤から紫までの色が並ぶ帯が空に現れます。
虹が見えるためには、
二つの条件が必要です。
ひとつは、
空気中に水滴が存在すること。
もうひとつは、
太陽の光が差していることです。
この二つが同時にそろうと、
虹が現れます。
夏に虹が多い理由
夏は、
積乱雲による雨が多くなります。
夕立などのあと、
急に空が晴れることがあります。
このとき、
空には雨粒が残っています。
そこに太陽の光が当たると、
虹が現れやすくなります。
そのため虹は、
夏の空によく見られる現象です。
冬に虹が少なくなる理由
季節が冬に近づくと、
空の状態は大きく変わります。
雨の降り方は、
夏のような対流性の雨ではなくなります。
低い雲が広がり、
長く続く雨や雪になります。
このような空では、
雨と太陽の光が同時に現れることが少なくなります。
その結果、
虹は見えにくくなります。
これが
「虹蔵不見」という表現の意味です。
「蔵」という言葉
この候では、
虹が消えるとは書かれていません。
「蔵れる」と表されています。
蔵れるとは、
姿を隠すという意味です。
つまり虹は、
存在しなくなるわけではありません。
ただ、
冬の空では見えにくくなるのです。
この表現は、
自然の変化を静かに示しています。
中国の自然観察
七十二候が成立した中国北部では、
冬になると空気が乾燥します。
降水も少なくなり、
虹が現れる条件が減ります。
そのため、
小雪のころには
虹がほとんど見られなくなります。
この変化が、
暦の候として表されました。
日本の風土との違い
日本では、
冬にも雨や雪が降ります。
そのため、
地域によっては冬でも虹が見えることがあります。
特に日本海側では、
雪雲の合間に日差しが出て
虹が現れることがあります。
しかし全体としては、
夏に比べて虹は少なくなります。
この点では、
季節の傾向として理解することができます。
小雪三候の入口
小雪の三候は、
虹蔵不見
朔風払葉
橘始黄
と続きます。
虹が姿を隠し、
北風が葉を吹き払い、
柑橘の実が色づきます。
空、風、植物の順で、
冬へ向かう自然の変化が描かれています。
虹蔵不見は、
その最初の段階です。
冬の静かな空
冬の空は、
夏の空とは大きく違います。
積乱雲は少なくなり、
空の動きは落ち着きます。
その空では、
虹の姿も見えなくなります。
虹蔵不見は、
冬の空の静けさを示す候です。
要点整理
・虹は太陽光と水滴で生まれる現象です
・夏は夕立のあとに虹が現れやすくなります
・冬は虹の条件がそろいにくくなります
・虹が姿を隠すことで冬の空を表します

