立秋の末候は「蒙霧升降(ふかききりまとう)」です。
濃い霧が立ちのぼり、また降りるころをいいます。
霧は、空気の状態が変わるときに現れる現象です。
そのため、この候は秋の空気の始まりを示すものとして置かれています。
「蒙霧」とは何か
「蒙」は、おおう、包むという意味を持つ字です。
「蒙霧」は、濃く立ちこめる霧を指します。
単に薄く漂う霧ではなく、
視界を覆うほどの霧です。
朝方、山や川の周辺に立ちこめ、
やがて日が昇るとともに消えていく。
このような霧が観察されるころを表しています。
「升降」という動き
この候の特徴は、
霧の動きを示している点です。
「升」は上がること、
「降」は下がることを意味します。
霧は、空気の温度差によって発生します。
夜の間に地面が冷えると、
地表付近の空気が冷やされます。
そこに湿気があると、
水蒸気が凝結して霧になります。
朝になると、
太陽の熱によって霧は上昇し、
やがて消えていきます。
この一連の動きを、
「升降」という言葉で表しています。
立秋のころに霧が現れる理由
夏の盛りには、
夜の気温があまり下がりません。
そのため霧は発生しにくくなります。
しかし立秋のころになると、
夜の気温が少しずつ下がり始めます。
昼はまだ暑くても、
夜はわずかに涼しくなる。
この温度差が、
霧の発生条件を作ります。
つまり霧は、
秋の空気が現れ始めた証です。
中国の気候との関係
七十二候が成立した中国北部では、
夏と秋の空気の差が比較的はっきりしています。
大陸性気候では、
昼夜の温度差が大きくなりやすいのです。
そのため立秋のころには、
朝霧が現れやすくなります。
「蒙霧升降」という表現は、
そうした気候を背景にしています。
日本の風土との違い
日本は海洋の影響を強く受ける気候です。
夏の湿度が高く、
夜の気温もあまり下がりません。
そのため立秋のころでも、
霧の発生は地域差があります。
山間部や川沿いでは見られますが、
平野部ではまだ少ない場合もあります。
しかし、季節が進むにつれて、
霧は次第に増えていきます。
この候は、
その最初の兆しを示しています。
立秋三候の構造
立秋の三候は、
涼風至
寒蝉鳴
蒙霧升降
と続きます。
最初は風の変化。
次に蝉の声。
最後に霧。
いずれも空気の状態の変化を表しています。
立秋は、
空気の質が変わる節気です。
見えない変化を示す候
秋は、
突然やってくる季節ではありません。
暑さの中で、
わずかな変化が積み重なります。
風が変わり、
声が変わり、
霧が立つ。
そうして季節は、
少しずつ次の段階へ移ります。
霧は、その変化を目に見える形で示します。
それが、
立秋の末候「蒙霧升降」です。
要点整理
・蒙霧は濃い霧を指します
・升降は霧が立ちのぼり消える動きです
・昼夜の温度差が霧を生みます
・秋の空気の始まりを示す候です

