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秋分の日が動き出す…国立天文台暦計算室のトピックスを紐解く
秋分の日は,春分の日とともに国民の祝日に関する法律で定められていますが,具体的な日付が記されていないのです。
秋分日と書かれていて,二十四節気の秋分を含む日,つまり太陽が秋分点を通過する日と定められています。この定義の仕方は,秋季皇霊祭が休暇日に定められた明治11年(1878)6月5日のころから変わっていません。
秋分の日は,長らく9月23日のままであったのが,平成24年(2012)に9月22日となった。このとき,9月23日でなくなるのは昭和54年(1979)9月24日になったとき以来33年ぶり,9月22日になったのは明治29年(1896)以来116年ぶりの出来事。
このあたり文字だけ読んでいてもよくわからない,わかりづらい。ここは,このあたりの背景について,よく考えてみましょう。(国立天文台暦計算室のトピックス)
地球の運動と季節

図1:地球の運動と季節
地球は1年かけて太陽の周りをまわっている (図1)。
地球の自転軸は地球の運動面に対して垂直ではないから,北極側が太陽を向く時期と逆を向く時期が存在する。(図1の左・夏至のときと,右・冬至のとき)。
北半球においては前者(図1の左端)が夏で,後者(図1の右端)が冬,その中間は春や秋となり,地球が軌道上のどこにいるかによって季節は定まる。ここわかりますね。
この軌道上の位置をより細分化(360度を24分化)したものが二十四節気であり,とくに先の4点はそれぞれ夏至,冬至,春分,秋分と呼ばれている。

1年=365日と思っている人もいるだろうが,この地球の運動=季節のめぐりこそが,真の1年=1太陽年≈365.2422日=365日+6時間弱なのである。(¥)

図2:二十四節気と閏年
この,6時間弱という端数のために秋分点通過時刻は年々遅くなっていく (図2).といっても,4年経つとその累計はほぼ1日になるから,4年おきに1日増やす,つまり閏年を作ることでだいたい元の状態に戻すことができる。
このように,季節と日付が大きくずれていかないようにすることが閏年を設ける理由であり,このような暦をユリウス暦という.ユリウス暦の1年の長さは平均365.25日になる。
日付の変動
このとき日付がどうなるか,少し具体的な時刻を使って考えてみましょう。
これが、「秋分の日が動く」という表現になるのですね。
はじめに秋分点を通過する時刻が10時だとすると (表1の例1),通過時刻が遅くなる過程で秋分の日の日付も変わることがわかる。
だが,2時だとすると (例2),日付は変わらない.秋分の日は長い間,例2のような状態にあったわけである。

一方,0.2422 × 4 = 0.9688 だから,4年に1日の割合だと1 - 0.9688 = 0.0312日 ≈ 45分 だけ補正しすぎることになる。このため,4年後の通過時刻は逆に約45分ずつ早くなっていくのだ。平成24年の秋分の日が22日のように早くなるのもこれが原因である。
グレゴリオ暦
過剰な補正量は400年で3日に達するから,その分だけ閏年を減らすほうが長期的なずれは少なくて済む。そこまで考慮して定められた暦が現在も使われているグレゴリオ暦であり,この場合の1年の長さは平均365.2425日となる。

秋分の日の変動 こんなグラフで動きがわかる
実際に年ごとの秋分の時刻をグラフに表すと,図3のようになる。
なお,本トピックスでは,説明を簡略化するために1太陽年≈365.2422日等の平均値を用いているが,秋分など二十四節気は地球から見た太陽が特定の位置にくる瞬間,たとえば秋分の場合は太陽の視黄経が180°になる瞬間の中央標準時として定義されるものであり,厳密には章動や月・惑星の影響,地球自転の変動なども考慮に入れる必要がある。
それでも,平年では1年あたり6時間弱ずつ遅れ,閏年になると4年前よりも少し前に戻る様子は十分に見て取れる。また,当分は4年おきに秋分の日が9月22日になること,しだいに9月22日となる割合が増えていくことなどもわかる。

図3:秋分の変動(予測を含む)
確認リンク:秋分の日が動き出す
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