暦に刻まれた“厄日”
二百十日は、雑節のひとつで立春から数えて210日目にあたります。現代の暦ではおおむね9月1日ごろに重なり、2025年は**8月31日(日)**がその日となります。
この頃は昔から「台風の襲来が多い時期」とされ、農作物に大きな被害をもたらす可能性があることから**厄日(やくび)**として意識されてきました。

【二百十日】(にひゃくとおか)
立春から数えて、210日目の日。台風が来る頃。
災害への備えの目安
近代以前の社会では、台風の接近・暴風によって生活や生産が大きな影響を受けることから、二百十日は単なる日付ではなく、人々に「気を引き締めよ」と告げる暦日ですね。
現代の気象統計から見ると、必ずしもこの日に台風が集中するわけではありません。しかし、8月下旬から9月にかけて台風の発生・接近がピークを迎えるのは確かであり、防災意識を高める節目として今も有効です(参考:気象庁 台風統計資料)。
文化的な広がり
この暦日は、各地で行事や習俗に結びついてきました。
たとえば、富山県八尾町で行われる「おわら風の盆」は、二百十日前後に営まれることで知られています。**“風を鎮め、豊穣を願う祭り”**として、いまでは全国的に有名になりました。
また関東や東海の一部地域でも、**「風祭り」や「風鎮祭」**と呼ばれる祭礼が行われ、厄災を祓う風習が続いています。暦と暮らしが密接につながっていたことが感じられます。
現代における意味
二百十日は、今の私たちにとっても「防災のリマインダー」として大きな意味を持ちます。台風だけでなく、豪雨や暴風災害全般に備える日として意識することができます。
カレンダーにさりげなく記されるこの雑節をきっかけに、避難経路や備蓄品を確認するのも現代的な過ごし方といえるでしょう。
まとめ
- 二百十日は 立春から210日目(2025年は8月31日)
- 古くから 台風の厄日 とされ、防災意識を促す暦日
- 「おわら風の盆」などの行事にも結びついている
- 現代では 気象情報とあわせて防災確認の目安 にできる
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