雑節【二百十日】(にひゃくとおか)|台風をもっとも警戒すべき頃

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🌤 自然 ― 立春から数えて二百十日、季節が荒れる節目

 二百十日とは、立春(2月4日ごろ)から数えて210日目にあたる日のことで、
おおむね 9月1日ごろに訪れます。

 古来、日本ではこの頃を「台風がもっとも来やすい厄日」として特に警戒しました。
太平洋高気圧が弱まり始め、南からの湿った空気が入り、
大気の状態が乱れやすくなる時期でもあります。

 青空が続いていたと思えば急に黒雲が湧き、
稲穂が実り始めた田んぼを強風が揺らす――
そんな不安定さこそ、二百十日という季節の姿です。

二百十日(にひゃくとおか)
 
 立春から数えて、210日目の日。台風が来る頃。

   

🏠 暮らし ― 農家にとって“厄日”とされた理由

 台風の襲来が多いとされるこの日を、
農家では昔から **「大事な稲を守るための警戒日」**として扱ってきました。

  • 稲が実り、穂が重くなり始める時期
  • 強風や大雨で倒伏しやすい
  • 被害が出ると収穫に大きく影響する

 このため、各地では
「二百十日祭」「風祭り」「台風除けの祈願」
といった祭礼がおこなわれてきました。

 現代でも「防災の意識を高める日」として、
天気予報の確認、非常用品の見直しなどが意外に役立つ時期です。


🍚 旬 ― 初秋の実りと、風景の移ろい

 二百十日の頃は、暦の上ではまだ残暑が続くものの、
自然は次の季節へと静かに歩み始めています。

  • 稲穂が黄金色に変わりはじめる
  • 早生の梨・ぶどうが店頭に出揃う
  • 秋刀魚・戻り鰹が姿を見せる
  • 里芋・早生南瓜など秋の気配をもつ野菜が始まる

 台風前後の湿気の多い空気の中にも、
朝夕はほんのわずかに秋の涼風が混じる時期です。


📚 文化・ことば ― 二百十日の“厄日”と風の信仰

 二百十日は、古くから **「風の害をもっとも恐れる日」**として語られてきました。

 有名な俳句に

二百十日風のむくまま茄子の畑(川端茅舎)
があります。

 また、農村では「風祭り」や「虫送り」「雨乞い」といった行事が
台風・嵐への祈りと結びついて広くおこなわれました。

 “立春から数える”という旧暦らしい季節法は、
日本人が自然の変化を数字で可視化しようとした知恵でもあります。


💬 ひとこと

 二百十日は、ただの“昔の厄日”ではありません。
台風シーズンの入り口という意味では、現代でも十分に実用的です。

 稲の実りを祈った農のこころにふれながら、
防災意識を少しだけ高めておく――
そんな静かな心づもりにぴったりの季節の節目です。

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