雑節:入梅(にゅうばい)
2025年の入梅:6月11日(水) 0時42分(日本標準時)※令和7年 暦要項
梅雨入りの“暦の目安”としての入梅
「入梅(にゅうばい)」は、雑節のなかでも、計算により毎年日時が定まるという点で、他の雑節と一線を画します。
**旧暦では、芒種に最も近い「壬(みずのえ)の日」**が入梅とされていましたが、改暦後は太陽黄経80度に達する瞬間が入梅と定められ、国立天文台が毎年「暦要項」でその日時を発表しています。
たとえば、2025年の入梅は「6月11日 0時42分」。
これは二十四節気と同様に、太陽黄経を基準にした日時でありながら、「雑節」として位置づけられているのが特徴です。
気象庁の「梅雨入り」とは別です
入梅と聞くと、「ああ、梅雨入りか」と思う方も多いでしょう。
しかし、入梅はあくまで暦上の節目。
気象庁が発表する「梅雨入り」は観測データと予報に基づくものであり、必ずしも入梅と一致するわけではありません。
とはいえ、実際の気候変化とは不思議と重なることも多く、湿度を感じ始める頃、あるいは庭先の紫陽花が色づき始める頃に、ちょうどこの「入梅」がやってくるのです。
入梅の語感に宿る季節の重さ
「梅に入る」と書くこの言葉。
その音の響きには、どこか重たい湿気、白くけぶる空、しとしとと続く雨の気配がにじみます。
洗濯物が乾かず、気分も沈みがちな季節ではありますが、恵みの雨が稲や果実を育てる大切な時期でもあります。
農家にとっては田植えの最終段階、梅の収穫や梅仕事の始まりでもある入梅。日本の暮らしのリズムが、雨に寄り添っていたことを思い出させてくれます。
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