目次
第2部 その他編
第17章 天一天上とは何か
―― 天一神が天に昇る期間 ――
はじめに ― 方位の禁忌が消えるとき
暦の中には、
特定の神の動きと
結びついた暦注があります。
その一つが
天一天上(てんいちてんじょう)
です。
天一天上とは、
天一神が天に昇る期間
とされる暦注です。
この期間は、
普段は避けるべきとされる
方位の禁忌が消える期間
と考えられてきました。
1 天一神とは何か
天一天上を理解するためには、
天一神(てんいちじん)
という神を知る必要があります。
天一神は、
陰陽道の方位神の一つです。
この神は、
日ごとに
一定の方角に存在すると
考えられていました。
そのため、
その方角へ向かう行動は
避けるべきとされました。
これを
方違え(かたたがえ)
などと呼びます。
2 天一天上の期間
しかし、
天一神は常に地上にいるわけではない
と考えられていました。
一定の期間になると、
天一神は
天に昇る
とされます。
これが
天一天上
です。
この期間は、
およそ
十六日間
続くとされました。
3 方位の禁忌が消える
天一神が天に昇ると、
地上から
その影響が消えると考えられました。
そのため、
通常は避けるべきとされる
方位の禁忌が
この期間には
なくなるとされました。
つまり天一天上は、
方位を気にせず行動できる期間
と理解されたのです。
4 陰陽道と方位思想
天一天上の背景には、
陰陽道の方位思想
があります。
古代の人々は、
宇宙の気が
方位によって変化すると
考えていました。
そのため、
ある方角には
神や霊的な力が宿るとされ、
行動の方向にも
注意が払われました。
天一天上は、
そのような方位思想の中で
特別な意味を持つ期間です。
5 日本の暦と天一天上
天一天上は、
日本の陰陽道文化と
深く結びついた暦注です。
平安時代の貴族社会では、
方位の禁忌が
重要視されました。
そのため、
天一天上の期間は
移動や行動を
計画しやすい時期として
意識されることがありました。
6 天一天上が示す思想
天一天上は、
暦と宗教思想が
結びついた例です。
暦は、
単なる時間の記録ではなく、
神々や宇宙の力と
関係づけられていました。
天一天上は、
その中で
神の存在と
時間の流れを
結びつける暦注の一つです。
まとめ
天一天上とは、
天一神が天に昇るとされる
特別な期間です。
この期間には、
普段は避けるべきとされる
方位の禁忌が消えると考えられました。
天一天上は、
陰陽道の方位思想と
暦文化が結びついた
特徴的な暦注なのです。
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