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鶯(うぐいす)|春は「声」から始まる

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鶯(うぐいす)――
春を告げる鳥、と聞けば、多くの人が思い浮かべる名前です。

立春・次候は、七十二候で黄鶯睍睆(うぐいす なく)
「鶯が鳴き始めるころ」を表した候です。

まだ寒い。
景色も冬に寄っている。
けれど、どこかで声だけが先に春を始める――。

七十二候が面白いのは、
春の始まりを「暖かくなった」ではなく、
鶯が鳴いた」で書き留めているところです。

春は、光より先に。
風よりあとに。
声として届く

黄鶯睍睆という言葉には、
季節が切り替わる瞬間の“音”が刻まれています。


立春・初候が「東風解凍(こちこおりをとく)」なら、
次候は「黄鶯睍睆(うぐいすなく)」です。

■ 黄鶯睍睆──暦は「春の音」を待っていた

風が変わり、氷がゆるみ、
そして――鳥が鳴く。

この並びは、季節の動きが
「自然の変化」→「生き物の反応」
へ進んでいく順序そのものです。

花が咲くよりも前に、
春はまず生き物の気配として現れる。

その代表が、鶯の声だったのでしょう。

■ 「睍睆(けんかん)」とは何か

黄鶯睍睆という候は、漢字が少し難しいですね。

このうち「黄鶯」は鶯のこと。
そして「睍睆(けんかん)」は、
鳥の鳴き声がよく通り、澄んで響くさまを表す語です。

ただ「鳴く」ではなく、
春の空気の中に、声が伸びていく感じ。

昔の人は、鶯の初音を、
単なる生き物の活動ではなく、
季節の「音の節目」として聞いていたのだと思います。

■ 鶯の「初音」は、上手くない

ここで少し面白い話があります。

春先の鶯の鳴き声は、
いわゆる「ホーホケキョ」が、必ずしも綺麗ではありません。

むしろ、途切れたり、音程がずれたり、
まだ練習中のような鳴き方になることが多い。

けれど、だからこそ――
春の始まりにふさわしい気もするのです。

完成された春ではなく、
まだ寒さの中で始まりかけている春。

鶯の声は、その「途中」を教えてくれます。

■ 今の暮らしでは、春の合図は「音」かもしれない

春の到来は、私たちの生活の中でも「音」で感じることがあります。

たとえば、

朝、鳥の声で目が覚める日
窓を開けても寒さに身構えない日
外から子どもの声が聞こえるようになる日
季節の変化は、気温だけではありません。
世界の“音量”が少しずつ上がっていくのも、春らしさの一つです。

黄鶯睍睆。
鶯の声が澄んで聞こえるころ。

暦が示す春とは、
生き物の声が戻ってくる季節だったのだと思います。


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