【霜降】(そうこう)(10月23日)…霜が降りるころ/nanikorenet

季節の情景

 霜降は二十四節気の第十八節気で、太陽黄経210度に達する10月23日ごろに訪れます。

 文字通り「霜が降り始める」頃を意味し、朝晩の冷え込みが一段と厳しくなってきます。山里や田畑では、夜明けとともに草葉の先に白く輝く霜が降り、秋の終盤を告げる光景が広がります。

 秋晴れの青空はますます澄みわたり、昼間は穏やかな陽射しに包まれながらも、朝夕の寒暖差は大きくなります。北国からは紅葉前線が南下し、平地でも木々が赤や黄色に色づきます。

 カエデやイチョウの鮮やかな葉は、澄んだ空気と相まって秋のクライマックスを演出します。

【霜降】(そうこう)
 
 霜が降りるころ

  月: 九月中  太陽黄経:210°

暮らしと行事

 霜降は、冬支度を本格的に始める合図でもあります。衣替えを終え、暖房器具を準備する家庭も多いでしょう。

 農村では収穫祭が盛んに行われ、米や穀物の刈り入れを祝うとともに、神社では秋祭りが開かれます。

 この頃には「お十夜(じゅうや)」という念仏法要が寺院で営まれます。旧暦10月5日から15日まで行われることが多く、極楽往生を願う大切な行事でした。

 また、この時期に「時雨(しぐれ)」が降り始めるとされ、冬を目前にした不安定な天候も霜降の季節感を象徴しています。

旬の味覚

 食卓には、霜降ならではの実りが並びます。

 柿は甘柿・渋柿ともに最盛期を迎え、干し柿作りが盛んになります。

 りんごはふじ系の晩生品種が登場し、みかんも早生から中生へと移行。梨やぶどうはそろそろ終盤を迎え、秋の果物から冬の果物への橋渡しの時期です。

 野菜では大根や白菜が旬に入り、鍋料理が恋しくなります。ほうれん草や春菊などの青菜も出回り、冬野菜が市場をにぎわすようになります。

 魚介類では、脂ののった秋刀魚や秋鮭に加え、カニ漁が解禁となり、海の幸も豊富です。

文化・文学

 文学の世界でも霜降は豊かに詠まれてきました。松尾芭蕉は「初しぐれ 猿も小蓑を ほしげ也」と詠み、秋の終盤の情景を描きました。

霜は単なる自然現象にとどまらず、人の心に秋の深まりと寂しさを呼び起こす象徴です。

 また、漢詩では「白露成霜」といった表現が用いられ、冷たさと静けさが人生や季節の無常を表す言葉として重ねられてきました。

 霜降は、自然と文学が溶け合い、情感豊かな言葉が生まれる季節です。

暦と節目

霜降は寒露と立冬の間に位置し、秋を締めくくる節気です。七十二候では次のように分けられます。

初候「霜始降(しもはじめてふる)」――初めて霜が降りる頃。

次候「霎時施(こさめときどきふる)」――時雨が降り始める。

末候「楓蔦黄(もみじつたきばむ)」――カエデやツタが紅葉する。

霜降の名の通り、自然界の変化は冬に向けて一気に進んでいきます。

ひとこと

 霜降は、秋の終わりと冬の入口をつなぐ季節。冷たい空気が漂う中で、紅葉や実りは最高潮を迎えます。

 日々の暮らしは少しずつ冬支度へとシフトし、自然も文化も「締めくくり」の彩りを見せます。

 霜降の空気に包まれると、一年の歩みの速さを感じながら、心は次の季節への準備を始めるのです。

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