【小暑】(しょうしょ) 月: 六月節 太陽黄経:105°
暑気に入り梅雨のあけるころ

次候 蓮始開
(はすはじめてひらく)
蓮の花が開き始める
目次
蓮の花が、静かに開き始める頃
小暑の次候は「蓮始開(はす はじめて ひらく)」。
読んで字のごとく、蓮の花が咲き始めるころという意味です。
蓮は、夏の初めに水面からスッと茎を伸ばし、大きな葉を広げ、その中心に静かに美しい花を咲かせます。
この花が開き始めるのが、まさにこの小暑の中ごろ。今年は、7月12日~16日ごろにあたります。
朝早く、静かな水辺に咲く蓮の花。開いては閉じ、また翌朝に開く――その様子には、どこか神聖で、涼やかな気配がありますよね。
仏教とともにある、特別な花
蓮(はす)は、仏教においても非常に大切な植物。
泥の中から伸び、美しい花を咲かせるその姿は、「煩悩を離れ、清らかな心を開く象徴」とされています。
仏像の台座や寺院の池など、仏教文化と結びついた場面で多く目にするのもそのためです。
特にこの時期、各地の寺院では蓮の開花に合わせて朝の特別拝観や蓮見の催しが行われ、蓮の花は「静かな夏の風物詩」として親しまれています。
夏空の下、水辺に広がる緑と命
小暑の中盤に入り、暑さも本格化してきます。
梅雨が明けるかどうか、地域によって差はあるものの、空には入道雲が立ちのぼり、セミの声もいよいよ本格的に。
そんな中、水辺では蓮の葉が大きく広がり、鮮やかな緑が陽射しに揺れています。
雨上がりの水滴をはじく蓮の葉は、まるで自然が作り出した涼の器。まさに夏らしい情景です。
暑さに向かう体、涼を求める心
気温が30度を超える日も増え、身体にも疲れがたまりやすくなるころ。
古来より、人々はこの時期に食べ物や過ごし方で「涼」を取り入れる知恵を育んできました。
旬の野菜や果物をうまく取り入れ、梅干しや酢の物などの酸味で食欲を保ち、涼やかな見た目の器や色使いで「涼感」を楽しむ――
そんな日本の夏の工夫が、蓮の花にもどこか通じているように思えます。
この時期の果物|冷たく、甘く、みずみずしく
果物もまた、夏本番のラインナップへ。
スイカや桃が全国各地から届き始め、ぶどうやブルーベリーなども出荷が始まる時期。
冷蔵庫で冷やしてそのまま食べたり、かき氷やゼリーにしてアレンジしたりと、食卓でも夏の彩りが広がります。
ふるさと納税でも、夏ギフトや冷蔵便の品が目立ち、贈り物にも喜ばれる時期です。


朝のひととき、蓮とともに
蓮の花は、早朝に開き、昼ごろには閉じる性質を持っています。
そのため、「早起きして見る花」とも言われ、蓮を見るには“静かな朝”がよく似合います。
一輪ずつ、ゆっくりと開く蓮の花を前にすると、蒸し暑い季節のなかにも、確かな静寂と清らかさが広がっていることに気づかされます。
ひとこと
「蓮始開」は、夏のなかの“静”を感じる候。
騒がしくなる季節のはじまりに、あえて水辺の静寂に目を向ける――そんな心の余裕を思い出させてくれる言葉です。
今年の夏も、慌ただしい日々の中に、静かな朝のひとときを。
蓮のように、静かに、ゆっくりと、花ひらく心を。