目次
第2部 下段編
第9章 往亡日とは何か
―― 出かけることを避ける日 ――
はじめに ― 移動を避ける日
暦の下段には、
さまざまな凶日が記されています。
その中に、
往亡日(おうもうにち)
という暦注があります。
往亡日とは、
出かけることを避ける日
とされる日です。
特に、
- 旅立ち
- 遠出
- 引っ越し
- 商いのための移動
などを控えるべきとされてきました。
名前の通り、
「往けば亡ぶ」
という意味を持つ日です。
1 往亡日という言葉
往亡日は、
二つの言葉から成り立っています。
往
行く
亡
滅びる・失う
つまり往亡日とは、
行けば亡びる日
という意味になります。
これは、
出かけることで
災いを招く可能性がある日
と考えられました。
2 往亡日の思想
往亡日の背景には、
古代中国の
陰陽五行思想
があります。
陰陽五行では、
宇宙の時間には
それぞれ性質がある
と考えられました。
ある時間は
- 調和し
- 成長し
- 発展する
一方、
ある時間は
- 不調和
- 停滞
- 衰退
をもたらすとされました。
往亡日は、
こうした
衰退の時間
と考えられたのです。
そのため、
外へ向かう行動は
避けるべきとされました。
3 往亡日と移動
往亡日の特徴は、
移動に関する禁忌
であることです。
例えば、
次のような行動は
避けるべきとされました。
- 旅
- 商いのための遠出
- 引っ越し
- 新しい土地への移動
古い社会では、
移動は大きな危険を伴いました。
そのため、
暦の中に
移動を控える日
が設けられたと考えられます。
4 日本の暦と往亡日
往亡日は、
中国の暦思想から生まれた暦注ですが、
日本の暦にも取り入れられました。
江戸時代の暦では、
往亡日は
旅立ちを避ける日
として知られていました。
当時は、
商人や旅人にとって
暦は重要な判断材料でした。
そのため往亡日は、
行動の計画を立てる際に
意識される暦注の一つでした。
5 往亡日が示すもの
往亡日は、
単なる迷信ではありません。
そこには、
時間と行動の関係を考える思想があります。
古代の人々は、
すべての時間が同じではなく、
ある時間には
特定の行動が
適していると考えました。
往亡日は、
移動に適さない時間
とされた日です。
つまりこれは、
人間の行動を
時間の秩序に合わせようとする試み
でもありました。
まとめ
往亡日とは、
出かけることを避けるべき日とされた暦注です。
特に、
旅や移動に関する行動が
禁忌とされました。
これは、
時間にはそれぞれ性質がある
という暦思想の表れでもあります。
暦の下段には、
このような
行動を制限する暦注が
多く書かれていました。
次章では、
死や墓と関係する凶日
五墓日
を見ていきます。
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