目次
第2部 中段編
第1章 十二直とは何か
―― 暦の中央に書かれた日々の評価 ――
はじめに ― 暦の「中段」とは何か
昔の暦を開くと、日付の近くに
建
除
満
平
定
といった文字が並んでいることがあります。
これらは 十二直(じゅうにちょく) と呼ばれる暦注です。
十二直とは、
日の吉凶や行動の適否を示す暦注
です。
現在よく知られている 六曜 よりも古く、
日本の暦では長く重要な役割を持っていました。
また十二直は、暦面の 中央部分に書かれることが多かったため、
暦の中段(ちゅうだん)
とも呼ばれます。
つまり十二直は、
暦の中心に置かれた行動判断の基準
だったのです。
1 十二直とは何か
十二直とは、
一日ごとに割り当てられる十二種類の評価
です。
その種類は次の通りです。
- 建(けん)
- 除(じょ)
- 満(まん)
- 平(たいら)
- 定(さだん)
- 執(とる)
- 破(やぶる)
- 危(あやぶ)
- 成(なる)
- 納(おさん)
- 開(ひらく)
- 閉(とづ)
この十二種類が順番に巡り、
12日で一周します。
つまり十二直は、
日を12の状態に分ける仕組み
です。
それぞれの直には意味があり、
- 良い日
- 注意すべき日
- 避ける日
などの判断が与えられました。
2 十二直の基本思想
十二直の特徴は、
物事の流れを示す言葉
であることです。
例えば、
建
→ 物事が始まる
除
→ 古いものを除く
満
→ 物事が満ちる
平
→ 平穏な状態
定
→ 安定する
成
→ 完成する
このように十二直は、
時間の状態の変化
を表しています。
つまり十二直は、
日の吉凶というより
「物事の進み方」を示す思想
なのです。
3 十二直は何に使われたのか
十二直は、さまざまな行動判断に使われました。
例えば
建
→ 新しいことを始める
満
→ 祝い事
平
→ 平常の行事
成
→ 成功を願う行動
開
→ 開店・開業
一方で、
破
→ 破壊・対立
危
→ 危険
閉
→ 閉じる
とされ、
大きな行事は避ける日とされることもありました。
つまり十二直は、
人間の行動と時間を結びつける暦注
だったのです。
4 六曜との違い
現代のカレンダーでは、
- 大安
- 仏滅
- 友引
などの 六曜 がよく知られています。
しかし六曜は、
近世以降に広まった比較的新しい暦注
です。
それに対して十二直は、
干支・月建と結びついた古い暦注体系
です。
六曜が
単純な六日周期
なのに対し、
十二直は
干支と月建を基準に決まる
という違いがあります。
そのため、
十二直の方が
宇宙の暦体系に近い暦注
と言えます。
5 なぜ「十二」なのか
十二直が十二種類なのは、
十二支の思想と関係があります。
古代中国では、
時間は十二の区分で理解されました。
例えば
- 十二支
- 十二辰
- 十二月
などです。
十二直も、
この 十二という時間単位に基づいて作られました。
つまり十二直は、
十二支の時間思想を
日の評価に応用した仕組み
と言えるでしょう。
6 十二直はどう決まるのか
十二直は単純な周期ではありません。
その配当は、
月建(げっけん)
によって決まります。
月建とは、
月に割り当てられた十二支です。
例えば
寅月
卯月
辰月
といった月です。
この月建を基準にして、
その月の最初の「建」が決まり、
そこから順番に
十二直が配当されます。
つまり十二直は、
月の干支によって決まる日評価
なのです。
7 十二直が示す時間観
十二直の背後には、
ある時間観があります。
それは、
時間は一定ではなく
状態が変化していく
という考え方です。
ある日は
始まりの力を持ち、
ある日は
完成の力を持ち、
ある日は
終わりを意味する。
このように、
時間を 動きのあるもの として理解する思想が、
十二直の基盤にあります。
まとめ
十二直とは、
日々の状態を十二の段階で示す暦注
です。
それは
- 行動の判断
- 時間の性質
- 物事の進行
を結びつける仕組みでした。
そしてこの十二直は、
月建によって決まる
という特徴があります。
次章では、
この
月建と十二直の関係
を詳しく見ていきます。
ひとつ前

