【立秋・次候】 寒蝉鳴(ひぐらし なく)8月12日頃~

立秋・次候|寒蝉鳴(ひぐらし なく)夏の終わりを告げる、ひぐらしの声

七十二候で立秋の次候は、「寒蝉鳴(ひぐらし なく)」。
読みは「かんせんなく」ですが、現代では「寒蝉=ひぐらし」として親しまれています。
2025年では、8月12日(火)〜16日(土)ごろにあたります。

「ヒグラシ」は、カナカナカナ…と切ない声で鳴く夏のセミ。
朝や夕暮れに静かに響くその鳴き声は、暑さのなかにもしんとした涼しさを運び、“夏の終わり”を知らせる音とも言われています。

【立秋】(りっしゅう)         月: 七月節  太陽黄経:135°

  暑さも峠を越え、秋の気配が感じられる              

次候 寒蝉鳴

(ひぐらし なく)

蜩が鳴き始める


「カナカナ」は秋の入り口の合図

ヒグラシの鳴き声には、アブラゼミやミンミンゼミとは違った響きがあります。
激しい合唱ではなく、まるで風鈴のように涼やかで、どこかもの悲しい――
その声を聞くと、「あ、季節が変わるな」と自然と感じる人も多いのではないでしょうか。

ヒグラシは、日が傾く時間帯や明け方の薄明で鳴くことが多く、“光と影”の季節のはざまに現れるセミなのです。


空と風と音の変化

この時期、空の高さが変わったように感じられる日があります。
雲のかたちがやわらかく、風がすっと軽く、日差しの角度にも少し変化が出てきます。

蝉の鳴き声もだんだんと静まり、代わりに虫の声や鳥のさえずりが目立つように。
「暑さのなかに、すこしだけ静けさがまざる」――そんな風景が、この候にはよく似合います。


お盆とともに響く、ひぐらしの声

立秋・次候の期間は、ちょうど**お盆(旧盆)**と重なります。
多くの地域では、8月13日~16日がお盆の中心。
家族が集い、ご先祖を迎える準備とともに、夏の終わりが意識される頃です。

ひぐらしの鳴き声は、お盆の静けさや記憶のような時間と相まって、**“少し寂しい夏”**を象徴する音として心に残ります。


🍇 この時期の旬とふるフル企画

果物では、いよいよ“晩夏〜初秋”のラインナップへと移ります。

🟠 出回る果物たち(地域により変動あり)

  • 桃(晩成品種):川中島白桃など
  • ぶどう:シャインマスカット、巨峰、ピオーネなど
  • 梨:幸水が本格的にスタート
  • イチジク・ブルーベリーも注目

▶ ふるさとフルーツ今が旬 立秋〜処暑編

冷蔵便で届く旬の果物や、冷凍ゼリー・ジュースなどのスイーツも人気が高まる時期です。


ことばの余韻:「寒蝉」とは

「寒蝉(かんせん)」という漢字は、「涼しげな蝉」や「夏の終わりの蝉」を意味します。
また、中国の古典や日本の和歌でも、「寒蝉の声」は過ぎゆく夏や失われる時を象徴する詩的な存在でした。

ヒグラシの鳴き声は、どこか記憶を呼び起こすような、不思議な響きを持っています。
過ぎていく夏の時間に、そっと添えられた「音のしおり」のようなものかもしれません。


ひとこと

暑さはまだまだ続きます。けれど、音や風や空の色は、確実に変わってきています。
「寒蝉鳴」は、“秋の予感”を耳で感じるとき。
ただの残暑ではない、次の季節への“はじまりの音”に、耳をすませてみてください。


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