第2部 中段編 第5章 二十八宿とは何か ―― 星が示すもう一つの時間 ――
はじめに ― 暦には「星の暦」もあった
ここまで見てきた十二直は、月建を基準にして日を評価する仕組みでした。
つまり、
月 → 日 → 行動判断 という構造です。
しかし古代の暦には、もう一つの時間の見方がありました。
それが、星の動きです。
夜空の星もまた、
季節と時間を示す指標として使われました。
この星による時間体系が
二十八宿(にじゅうはっしゅく)
です。
1 二十八宿とは何か
二十八宿とは、
天球を28の領域に分けた星の区分
です。
月はおよそ27日で天球を一周します。
古代中国では、この月の通り道を 28の区画 に分けました。
そしてそれぞれに星の名前が付けられました。
これが二十八宿です。
つまり二十八宿は、
月がどの星の場所にいるか
によって時間を示す仕組みでした。
2 二十八宿の構成
二十八宿は、
四つの方位に分かれます。
東方青龍
- 角、亢、氐、房、心、尾、箕
北方玄武
- 斗、牛、女、虚、危、室、壁
西方白虎
- 奎、婁、胃、昴、畢、觜、参
南方朱雀
- 井、鬼、柳、星、張、翼、軫
これらを合わせて、28の星宿 になります。
3 二十八宿と月の動き
月は毎日少しずつ星の背景を移動します。
古代の人々は、この動きを観測し、月がどの宿にあるかを見ました。
例えば、月が房宿にある日、参宿にある日、などです。
つまり二十八宿は、
月の位置を星で測る暦
でした。
4 二十八宿と暦注
二十八宿は、天文観測だけでなく、暦注としても使われました。
宿ごとに吉凶が割り当てられ、日々の行動判断に使われたのです。
例えば、
ある宿は
- 婚礼に良い、建築に良い とされ、
別の宿は
- 争いを避ける、旅行を控える とされました。
つまり二十八宿は、星による選日 でもありました。
5 十二直との違い
ここで重要なのは、二十八宿と十二直は、別の仕組み だということです。
十二直
月建 → 日の干支 → 十二直
二十八宿
月 → 星の位置 → 宿
つまり、十二直は 暦法中心の体系
二十八宿は、 天文観測中心の体系 です。
二つは異なる思想から生まれましたが、
どちらも、時間を評価する方法 として使われました。
6 日本の暦と二十八宿
二十八宿は中国で作られた天文体系ですが、日本の暦にも取り入れられました。
江戸時代の暦を見ると、日付の近くに宿の名前が書かれていることがあります。
例えば
- 房、心、尾、箕、などです。
これは、その日の 宿 を示しています。
つまり日本でも星による暦注が使われていたのです。
7 星と暦の思想
古代の暦は、太陽・月・星、すべてを使って作られていました。
太陽 → 季節
月 → 月日
星 → 時間の位置
つまり暦とは、
宇宙の動きを人間の時間に写したもの
だったのです。
二十八宿は、その中でも 星の時間 を表す仕組みでした。
まとめ
二十八宿とは、
天球を28の領域に分け、月の位置を星で測る仕組みです。
そしてその宿には、
それぞれ吉凶が与えられ、行動判断にも使われました。
つまり二十八宿は、星による選日 とも言える暦注です。
これで
第2部の 中段編
- 十二直
- 月建
- 北斗七星
- 二十八宿
という暦思想が揃いました。
次章からは、下段に書かれる吉凶日 を見ていきます。
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