【小暑】(しょうしょ)
暑気に入り梅雨のあけるころ
月: 六月節 太陽黄経:105°

初候
温風至 (あつかぜいたる)
暖い風が吹いて来る
小暑…本格的な暑さの入り口
「小暑」は、二十四節気のひとつで、暑気に入り梅雨のあけるころ、やや暑さを感じ始めるころという意味を持ちます。
まだ梅雨は明けていなくても、空気の質感が変わってきて、「暑さの気配」が確かに感じられるようになる頃です。
この小暑から「大暑」までの約15日間が、いわば「梅雨の出口〜夏の入口」にあたります。
その年の気候によっては、この時期に猛暑日を記録する年もありますし、逆にまだ雨が続く年もあります。
小暑は、“夏の初動”のような時期。
自然も、人の暮らしも、少しずつ「暑さへの備え」を始めるタイミングです。
「温風」とは、夏のはじまりの風
七十二候で「小暑(しょうしょ)」の初候は「温風至(あつかぜ いたる)」です。
漢字だけを見ると「温かい風が吹く」とありますが、ここで言う「温風(あつかぜ)」は、単なる春の陽気とは異なります。
それはまさに、本格的な夏の気配を運んでくる風。
湿り気を含み、肌にまとわりつくような、いわば「蒸し暑さ」の始まりの風を意味しています。
小暑の初候は、今年は7月7日からになります(2025年は7月7日~11日ごろ)。
日本列島は徐々に梅雨明けを意識するような空模様へと移り変わり、南から順に夏の空気が広がってきます。
今年は、6月27日頃には、近畿地方まで梅雨明けとなっています。東日本も梅雨明けが近づいてきているということですね。
梅雨明けの頃に吹く風を、白南風(しろはえ)と呼ばれています。

植物と虫たちの気配
この頃、草木は一気に葉を広げ、濃い緑へと変化していきます。
湿度と気温が高まる中で、セミの鳴き声が聞こえ始める地域も出てきます。
特にニイニイゼミやヒグラシなど、夏の初めを告げる虫たちが先陣を切るように登場します。
田畑では稲がしっかりと根を張り、早生の夏野菜(きゅうり・なす・トマト)なども次々と実りの季節へ。
この「温風至」は、まさに生命が躍動し始める季節の合図といえるでしょう。
旬の果物も“夏仕様”へ
果物の旬も、大きく“真夏寄り”へと動き出します。
さくらんぼの主流が終わりを迎え、今度はスイカ・桃・ブルーベリー・ぶどうなどが登場。
地域によってはメロンやマンゴーの収穫もピークを迎え、冷やして食べる爽やかな果物たちが食卓の主役に躍り出ます。
ふるさと納税でも、冷蔵便や夏用ギフトが目立つ時期。
家族やお中元用に、旬の果物を選ぶ楽しみもこの季節ならではです。


雲と空と、雷鳴のはじまり
小暑に入ると、入道雲のような力強い雲が空に現れ始めます 。
午後になると、局地的な雷雨や夕立が発生することも増え、**「雷鳴は夏のはじまり」**とも言われます。
地面が熱を持ち、空が騒ぎ始める。まさに夏の鼓動が聞こえる時期です。
ひとこと
「温風至」。それは、ただの暑さではなく、「これからの夏を予感させる空気」の始まり。
じわじわと身体にまとわりつくような湿気、突然の雷、ひと足早い蝉の声……。
今年の夏は、どんな暑さになるのか。どんな思い出が生まれるのか。
そんなことを感じながら、深呼吸をひとつ。この時期だけの空気に、耳を澄ませてみましょう。
コメント