六十干支(ろくじっかんし)は、十干(じっかん)と十二支(じゅうにし)を組み合わせた、60年で一巡する暦のサイクルです。
「甲子(きのえね)」から始まり、「癸亥(みずのとい)」で終わる60通りの組み合わせは、古代中国で整えられ、日本にも暦の知恵として伝わりました。
干支(えと)というと、十二支(子・丑・寅…)だけを思い浮かべがちですが、実は本来は十干と十二支の組み合わせであり、年を表す“記号”としての完成形が六十干支です。
このページでは、六十干支の基本と一覧(甲子〜癸亥)をまとめ、さらに「六十干支をどう読むか」や「六十干支をどう使うか」などについてアプローチします。
※六十干支の記事は順次追加していきます。完成形は「干支ごとの辞書ページ」を目指しています。
目次
はじめに|六十干支にどう接近したらいいのか?切り口はあるのか?
このあと六十干支の全体像に触れていきますが、やはり、十干十二支や陰陽五行といった定義や仕組みを理解したうえで、長い年月の中で、暮らしや戦が重ねられ、文化の醸成や王朝の隆盛・没落などを通じ、そして、その史実とともに迷信や風説なども加わって、六十干支が今の時代にも活き活きと受け継がれてきていることが見えてきます。
この六十干支のシリーズの構成イメージは、おおむね次のように考えています。
1.全体としての「六十干支とは(このページ)」
六十干支とは何か、なぜ60で一巡するのか、どう読めばいいのか――まずは土台を整えます。
そして、少しずつですが、以下の項目を蓄積していきたいと思っています。
2.定義・しくみ(総論+個別)
十干十二支/陰陽五行に基づいて、なぜ60で一巡するのか、暦の理屈を整理します。ここは全干支に共通する部分も多いので、総論で整えたうえで、個別記事では「その干支ならではの意味合い」を深めます。
3.迷信・風説など(文化史として)
今年2026年は丙午(ひのえうま)ですよね。丙午にまつわる迷信が語られるように、人々は六十干支に何を重ねてきたのか――ここは文化として“干支が生きている場所”です。干支の個性を表現する中心は、むしろこちらかもしれません。
▶ 丙午(ひのえうま)の迷信・風説を、文化史として深掘りします。

4.史実(史料・年表・出来事など)
六十干支を「出来事の箱」として年表化するのは魅力的です。ただし干支だけで史実を等量に集めるのは、かなり難易度が高いテーマでもあります。そこで当サイトでは、まず史料の年月日表記を読み解く道具として六十干支を整備し、そのうえで、話題が豊富な干支(例:丙午など)は迷信・風説や史料検証と結び付けて深掘りしていく方針です。
実は重要|六十干支は「年」だけでなく「日付」にも使われてきた
六十干支というと「60年で一巡する年の呼び名」という印象が強いのですが、史料の世界ではむしろ、日付(○月○日)を特定するための符号として使われてきました。
たとえば古い日記・記録・寺社の縁起・公文書などでは、年号や月日と並んで、その日の干支(例:癸巳・甲子など)が書かれることがあります。これは「同じ月に同じ数字の日があっても、干支が違えば別の日」と区別できる、昔の合理的な“目印”でした。
つまり六十干支は「年の名札」であると同時に「日付の座標」でもある──ここが分かると、干支の読み方や史料の見え方が一気に変わります。
ミニ図式|「癸巳の年」と「癸巳の日」は別物
例:癸巳(みずのとみ)
- 癸巳の年:60年で一巡する「年の呼び名」(その年全体につく名札)
- 癸巳の日:60日で一巡する「日の符号」(同じ年の中に何度も出てくる)
つまり「癸巳の年」だからといって、1年365日が全部“癸巳の日”になるわけではありません。年の干支と日の干支は別のサイクルで動いています。
史料での見分け方|「年の干支」と「日の干支」は別に書かれる
ここで混乱しやすいのは、「癸巳の年」と「癸巳の日」が別物だという点です。年の干支は“その年全体”につく呼び名ですが、日の干支は60日で巡るため、同じ年の中にも癸巳の日は何度も出てきます。
史料では、一般に年号(元号)+年数+月+日が先にあり、その補助としてその日の干支が添えられます。干支だけで日付を一意に決められないので、年号・月・日とセットで書き分けるのが基本です。
もし史料に「癸巳」とだけ出てくる場合でも、前後の記述(同月の行事、天候、人物の動き)と合わせて読めば、どの日の癸巳なのかが見えてきます。ここが「干支が史料読解に効く」ポイントですね。
六十干支は「年」だけでなく、古い暦では日付(毎日)にも割り当てられていました。
まずは総論で仕組みを確認してから、各干支記事へどうぞ。
六十干支の基本|どんなもの…どう使う…なんて読む
六十干支(ろくじっかんし)は、十干(じっかん)と十二支(じゅうにし)を組み合わせた「年の呼び名」です。
干支(えと)と言うと十二支(ね・うし・とら…)だけを思い浮かべがちですが、本来は十干十二支(じっかんじゅうにし)としてセットで考えるものです。
そして、その十干と十二支を順番に組み合わせていくと、ちょうど60通りで一巡します。これが六十干支です。
六十干支は「十干」×「十二支」でできている
六十干支の材料になるのは、次の2つです。
- 十干(10):甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸
- 十二支(12):子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥
十干は10個、十二支は12個。ここで重要なのは「数」です。10と12を順番に組み合わせていくと、すべての組み合わせがそろって最初に戻るのは60番目になります(最小公倍数が60)。
だから六十干支は、必然的に「60年で一巡する暦の輪」になるわけですね。
読み方のコツ|「えと」ではなく“十干+十二支”で読む
六十干支は、十干の読み(きのえ・ひのと…)+十二支の読み(ね・うし…)をつなげて読みます。たとえば、
- 甲子=きのえね
- 癸巳=みずのとみ
- 丙午=ひのえうま
この「きのえ/きのと」「ひのえ/ひのと」の部分が十干で、後ろの「ね/うし/とら…」が十二支です。
カードを並べていくと分かりますが、干支を読む感覚は「丸暗記」ではなく、パーツの組み立てに近いんですよね。
どう使う?|暦・文化・史実への入口になる
六十干支は、現代の日常生活では出番が少ないように見えますが、実は日本の暦文化を読み解く鍵として、いまでもあちこちに残っています。
- 暦の理解:十干十二支/陰陽五行とつながる
- 文化の理解:迷信・風説・縁起の背景が見える
- 歴史の理解:史料に出てくる年号・年月日の解像度が上がる
たとえば「丙午(ひのえうま)」が話題になるのは、単に十二支の午年だからではなく、「丙」という十干が重なることで、その年が特別に語られてきたからです。
こうした例を見ると、六十干支は単なるラベルではなく、時代の記憶が折り重なった器なのだと感じます。
暦の全体像のなかで見る|二十四節気・雑節・月の暦ともつながる
このサイトでは、二十四節気・七十二候・雑節・月齢など、「日本の暦」に関するまとめページも整備しています。六十干支はそれらと別物のようでいて、実はすべて同じ“暦の地図”の上にあります。
季節を区切る二十四節気や七十二候、季節の節目を示す雑節、月の満ち欠けを表す月齢。そこに「年を名付ける」六十干支が加わることで、暦の世界はぐっと立体的になります。
六十干支は、季節を直接示すものではありませんが、「その年の時間の流れ」を意識する入口にはなってくれます。
――そして何より、六十干支は「あなたの誕生年」に必ず一つ割り当てられます。
そこから先は、暦の話であると同時に、人生の記憶の話にもなっていく。そんな企画にできたらいいですね。
六十干支は「年の名札」──誕生年企画へ
六十干支は単なる分類ではなく、昔の人々にとっては、その年の空気を映す“名札”のようなものでした。
当サイトでは、六十干支を手がかりに
「あなたの誕生年は、こんな年だった」
ということが理解できる年次カード(図版)も順次追加していきます。
これからのために
六十干支を知ると、暦の見え方が少し変わります。
「今年は何の年か」だけでなく、「昔その年に何があったのか」までつながり、暦は単なる数字ではなく、記憶と文化の入口になります。
記事のなかのリンクで、皆さんそれぞれのアプローチで、あなたの持つ六十干支に、あるいは、あなたに馴染みの深い六十干支に最接近を試みてください。
六十干支は「年」だけでなく、古い暦では日付(毎日)にも割り当てられていました。まずは総論で仕組みを確認してから、各干支カードへどうぞ。

