目次
文明開化と言葉―シリーズの参考文献・基盤資料について
本シリーズ「文明開化と言葉」「和製漢語をめぐる記事群」は、
近代日本における翻訳・概念受容・言語形成をテーマにしています。
本ページでは、
各記事が依拠している研究分野・基本文献・史料の性格を整理し、
シリーズ全体の基盤を明らかにします。
本シリーズの立場と方針
本シリーズは、次の立場に基づいて構成されています。
- 特定の学説を断定的に主張しない
- 国語学・思想史・近代史の通説的理解を踏まえる
- 一次史料の存在を尊重しつつ、一般読者向けに再構成する
したがって、
学術論文の逐語引用ではなく、
研究史に基づく整理・解説記事という位置づけになります。
参考分野の整理
本シリーズは、主に以下の研究分野に依拠しています。
- 日本語史・国語学
- 翻訳史・翻訳語研究
- 日本近代思想史
- 政治思想史
- 漢字文化圏論・東アジア近代史
主要参考文献(基盤)
■ 和製漢語・翻訳語研究
- 柳父 章
『翻訳語成立事情』 - 柳父 章
『日本語は生き残れるか』 - 国立国語研究所 編
『日本語の歴史』
👉
和製漢語・近代翻訳語研究の基本文献。
■ 文明開化・思想史
- 福沢諭吉
『文明論之概略』 - 西 周
『百学連環』 - 加藤周一
『日本文化における時間と空間』
👉
近代日本が西洋思想をどう理解したかを知る基盤。
■ 政治思想・社会概念
- 丸山眞男
『日本政治思想史研究』 - 中江兆民
『民約訳解』 - 吉野作造
論文・講演集(民主主義概念)
👉
国家・国民・民主・革命といった政治語彙の理解に不可欠。
■ 漢字文化圏・中国側受容
- 石川九楊
『漢字文化圏』 - 佐藤慎一
『近代中国と日本語』 - 清末・民国期 日本留学関連研究
👉
和製漢語の中国語への逆輸出を扱う際の基礎。
一次史料について
本シリーズで言及している概念は、主に以下の一次史料に基づきます。
- 江戸後期~明治期の翻訳書
- 原語(英語・仏語・独語)文献
- 漢籍(易経・経世済民など)
本文中では逐一引用していませんが、
概念の成立史として広く確認されている内容を前提としています。
各記事との対応関係
- 「ターヘル・アナトミア」
→ 翻訳史・蘭学史 - 「科学/技術/医学/哲学」
→ 翻訳語成立・学問語彙 - 「社会/経済/宗教」
→ 概念再定義 - 「自由/権利/民主」
→ 政治思想史 - 「革命/国家/国民」
→ 和製漢語の政治語彙化 - 「漢語の中国語への逆輸出」
→ 漢字文化圏の再編
本シリーズの読み方について
本シリーズは、
- 一記事ずつ読んでも理解できる
- しかし通読すると、
「文明開化=言葉の再構築」という一本の流れが見える
構成になっています。
固定ページである本資料は、
索引・裏付け・読書案内として機能することを意図しています。
おわりに
文明開化は、
制度や技術の輸入ではなく、
言葉を通じた理解の積み重ねでした。
本シリーズが、
言葉と社会の関係を考える
一つの入口となれば幸いです。
※本シリーズの全体構成は「シリーズ総論」にまとめています。