大安の日とは
カレンダーに「大安(たいあん)」とあると、
「今日は縁起のよい日」
と思う人も多いのではないでしょうか。
大安は六曜の一つで、一般には何事にも吉とされる日として知られています。
結婚式や入籍、開店など、大切な日の候補として大安が選ばれることもあります。
けれども、少し考えてみると不思議です。
六曜は六つの日が繰り返し巡っているだけなのに、なぜ大安だけがこれほど「おめでたい日」として知られるようになったのでしょうか。
今回は大安の基本的な吉凶から一歩進んで、人々がなぜ大安を選んできたのかという視点から見てみます。
「大いに安し」と読む大安
「大安」という二文字からは、
大いに安らかな日
という穏やかな印象を受けます。
六曜では一般に、何事にも吉とされ、一日の中で特に凶とされる時間帯もありません。
先勝なら午前、先負なら午後というように時間帯を気にする必要がなく、友引や赤口にも時間による吉凶があります。
それに対して、大安は一日を通して吉と説明されます。
この分かりやすさも、大安が祝い事の日として選ばれてきた理由の一つと考えられます。
「せっかく大切な日を決めるなら、縁起のよい日を」。
そんな気持ちと結び付きやすい六曜なのでしょう。
なぜ結婚式に大安が選ばれるのか
大安と聞いて、最もよく連想されるものの一つが結婚式です。
結婚は人生の大きな節目。
新しい生活を始める日だからこそ、
できるだけ縁起のよい日を選びたい
と考えるのは自然なことです。
そこで「何事にも吉」とされる大安が、結婚式の日取りとして好まれてきました。
ただし、大安だから結婚生活がうまくいくという意味ではありません。
大安を選ぶことには、未来を保証するというよりも、
「よい門出になりますように」
という願いを日取りに託す意味があると考える方が、暮らしの中での六曜の姿を捉えやすいでしょう。
入籍・納車・開店――大安を選ぶ場面は広がった
大安を意識するのは結婚式だけではありません。
現在では、
入籍
納車
住宅の引き渡し
開店・開業
契約
祝い事
などで、大安を日取りの候補にすることがあります。
興味深いのは、六曜が現代の新しい生活にも取り入れられていることです。
自動車の納車などは、六曜が日本へ伝わった時代には当然存在しません。
それでも、
新しいものを受け取る日だから、縁起のよい日にしよう。
という考え方によって、大安が新しい生活習慣にも結び付いていきました。
これは、暦文化が昔の形のまま残るだけではなく、時代に合わせて使われ方を変えていく例ともいえるでしょう。
大安なら何をしても「うまくいく」?
ここは、大安を見るうえで大切なところです。
大安は一般に「何事にも吉」とされています。
しかし、
大安に始めれば必ず成功する
という意味ではありません。
六曜は、天体の位置や自然現象から、その日の出来事の結果を予測する仕組みではないからです。
大安の日に契約すれば必ず利益が出る、大安に納車すれば事故が起きない、大安に結婚すれば必ず幸せになる――というものではありません。
それでも大安を選ぶ人がいるのは、
結果を決めるためではなく、節目を気持ちよく迎えるため
と考えると分かりやすくなります。
暦の日取りに願いを込める。
そこに、大安が現在まで残っている理由の一つを見ることができます。
大安を選ぶ人、選ばない人
現代では、六曜を大切にする人もいれば、まったく気にしない人もいます。
どちらかが正しいというものではありません。
たとえば結婚式なら、
大安を優先する。
家族の希望を考える。
仕事の休みに合わせる。
会場の空きを優先する。
さまざまな決め方があります。
大安を選ぶことも日本に残る暦文化の一つですし、六曜にこだわらず自分たちに都合のよい日を選ぶこともできます。
むしろ興味深いのは、現在でもカレンダーの「大安」という二文字を見て、
「この日ならいいね」
と感じる人がいることです。
六曜が単なる昔の暦注ではなく、今も人々の日取りの感覚に残っていることが分かります。
仏滅と大安を比べると見えてくるもの
六曜の中で、大安と対照的に受け止められているのが仏滅です。
一般には、
大安=吉
仏滅=凶
という非常に分かりやすいイメージがあります。
結婚式では大安が好まれ、仏滅が避けられることがあるのも、この対照的なイメージによるものです。
しかし、どちらも六曜という同じ仕組みの中にある一日です。
大安だから未来がよくなり、仏滅だから悪くなるということではありません。
それでも人々が日取りを選ぶとき、この二つを意識してきた。
そこには、出来事そのものだけでなく、その始まりの日にも意味を持たせたいという人々の気持ちが表れているのではないでしょうか。
大安から見る「日を選ぶ」という文化
暦には、単に年月日を知る以上の役割がありました。
いつ種をまくか。
いつ旅立つか。
いつ祝い事をするか。
人々は暦を見ながら、さまざまな節目の日を選んできました。
六曜も、そうした「日を選ぶ」という文化の中で、暮らしに浸透していきました。
その中でも大安は、
「今日はよい日だから、この日にしよう」
という、とても分かりやすい選択肢になりました。
現在の暮らしの中に大安が残っていること自体が、日本人と暦との関係を考える一つの手がかりになります。
まとめ|大安は「よい始まり」を願う日
大安は六曜の一つで、一般には何事にも吉とされる日です。
そのため、結婚式や入籍をはじめ、開店、納車など、人生や暮らしの節目の日として選ばれることがあります。
しかし、大安は未来の成功を保証する日ではありません。
むしろ、
「せっかく始めるなら、よい日から」
という人々の願いを受け止めてきた日、と考えることもできます。
今日の日めくりに「大安」とあったなら、
「今日は運がいい」
だけで終わらせず、
なぜ私たちは、何かを始めるときに「よい日」を選びたくなるのだろう。
そんなところまで考えてみる。
大安という二文字の向こうには、今も続く日本の「日を選ぶ文化」が見えてきます。
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