**壬戌(みずのえ・いぬ)**は六十干支の59番目にあたる干支である。
十干の「壬(みずのえ)」と、十二支の「戌(いぬ)」が組み合わさったもので、大きく動く水(壬)と守りの犬(戌)が重なるという、緊張と秩序が同居する干支として古くから読まれてきた。
干支というと十二支だけが注目されがちだが、本来の暦の単位は十干十二支の組み合わせである。その完成形が六十干支であり、壬戌はその終盤に位置する。
本記事では、壬戌を
- 仕組み
- 意味
- 象徴
の三つの視点から整理し、年次の出来事に依存しない基礎理解を提示する。
目次
壬戌の読み方
壬戌は「みずのえ・いぬ」と読む。
- 壬(みずのえ):十干の9番目
- 戌(いぬ):十二支の11番目
壬は五行では「水」に属し、雨や河川、奔流のように勢いをもって拡散する水を表す。
戌は犬が象徴するように、守護・忠誠・境界・見張りを意味する。
このため壬戌は、
「奔る水を、守りの犬が見張る干支」
というイメージで理解すると分かりやすい。
壬(みずのえ)の意味|動く水・拡がる力
壬は「陽の水」とされ、癸(みずのと)が静かな水であるのに対し、壬は動きのある水である。
その性質は次のように整理できる。
- 流動:留まらずに動く
- 拡散:外へ広がる
- 衝撃:障害を押し流す力
壬はしばしば「大河」や「豪雨」「洪水」に重ねられ、秩序を破る可能性と、新しい秩序を生む可能性を同時に持つ存在として理解されてきた。
戌(いぬ)の意味|守り・境界・番人
十二支の戌は犬を象徴とし、古来より次のように解釈されてきた。
- 守護:家や村を守る
- 境界:内と外を区切る
- 番:危機を察知し警告する
戌は派手な変化を起こす存在ではない。むしろ、既存の秩序を守り、外敵を退ける役割を担う。
壬戌の特徴|奔流と守護の緊張
壬と戌が重なる壬戌は、次のような性質を帯びやすい。
- 変動が起きやすい
- 同時に秩序を守ろうとする力が働く
- 混乱と統制が併存する
このため壬戌はしばしば、
「動揺の年であり、守り直しの年」
として語られる。
革命的破壊というより、動揺の中で秩序を保とうとする緊張が本質である。
壬戌はなぜ“緊張を抱えた守りの型”なのか
壬戌がこのように読まれる理由は、年次の出来事ではなく干支そのものの構造にある。
- 壬=奔流
変化を押し進め、停滞を破る力。 - 戌=番犬
危機を察知し、秩序を守ろうとする力。
この二つが重なることで、壬戌は自然に
「動きが大きいほど、守りも強くなる」
という読みを誘発する。
そのため歴史の中で、後から**“緊張の年だった”**と解釈されやすい干支でもある。
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まとめ|壬戌は“奔流を見張る犬”
壬戌(みずのえ・いぬ)は、
奔る水(壬)を、守りの犬(戌)が見張る干支である。
派手な崩壊でも、完全な安定でもなく、
揺れの中で秩序を保とうとする緊張が本質だ。
壬戌を入り口に、六十干支を「年の名札」ではなく、
歴史を読むための暦の知恵として読み解いていきたい。
