癸巳(みずのとみ)は、六十干支(ろくじっかんし)の30番目にあたる干支です。
十干の「癸(みずのと)」と、十二支の「巳(み)」を組み合わせたもので、水の気配(癸)と蛇の象徴性(巳)が重なった、印象の強い干支でもあります。
干支というと十二支(子・丑・寅…)だけを思い浮かべがちですが、本来は十干と十二支をセットにした十干十二支(じっかんじゅうにし)が本体です。
その完成形が、60通りで一巡する六十干支です。
そして六十干支の個別記事で大切なのは、「仕組み」の説明だけで終わらないこと。
癸巳は特に、漢字(癸+巳)が持つ意味が濃く、さらに縁起・迷信・風説とも結びつきやすい干支です。
この記事では、癸巳の基本を「統合版」として整理していきます。
目次
癸巳の読み方
癸巳は「みずのとみ」と読みます。
- 癸(みずのと)=十干(10種類)の最後
- 巳(み)=十二支(12種類)の6番目(蛇)
「みずのと」は水の性質をもつ十干で、癸は10番目(最後)です。
「み」は蛇を表す十二支です。
つまり癸巳とは、“癸という水の干”が重なった巳(蛇)という干支になります。
癸巳はどんな干支?|癸(みずのと)×巳(蛇)の象徴
癸巳の個性は、「癸」と「巳」それぞれの意味を押さえると見えやすくなります。
干支は、単なる記号ではなく、長い年月の中で人々が意味を重ねてきた“文化の器”でもあるからです。
癸(みずのと)の意味|静かな水・締めくくり
癸は五行では「水」に属し、十干の最後に位置します。
大河や海のように目立つ水というより、雨・霧・地下水のように、目立たないが確実に満ちていく水のイメージです。
癸には、次のような性格づけがされることがあります。
- 終わり・締めくくり(一区切り)
- 内側で熟す・水面下で動く
- 静かに整える・浄める
癸巳の「癸」は、この静かな水の性質を背負っていると考えると分かりやすいです。
巳(み)の意味|脱皮=変化・再生の象徴
十二支の巳は「蛇(へび)」です。蛇は古来、恐れられる一方で、神秘性の強い存在として扱われてきました。
- 脱皮=再生・変化・更新
- 地を這う=境界・地下・隠された力
- 毒=恐れと力(両義性)
この「怖いのに縁起がいい」「災いの気配があるのに守り神でもある」という二面性が、巳の面白さでもあります。
癸巳の特徴|静かな変化と、水面下のうねり
癸巳は、水(癸)の気配と蛇(巳)の象徴が重なるため、しばしば次のように語られます。
- 静かな変化が始まる
- 表に出ないところで物事が動く
- 溜めたものが一気に転じる
もちろん干支が未来を決めるわけではありません。
しかし昔の人々は、出来事の意味を干支に重ね、「その年の空気」を語ろうとしてきました。
癸巳は、そうした語りが生まれやすい干支です。
癸巳の迷信・風説|ここは“基本”として押さえる
あなたの指摘の通り、ここが薄いと癸巳の記事は成立しません。
六十干支の個別記事で、最も差がつくのは「迷信・風説」です。仕組みは共通でも、意味づけは干支ごとに違うからです。
蛇は“災い”でも“福”でもある
蛇は古代から、ただ恐れられた存在ではありませんでした。
むしろ日本では蛇は、水神・土地神・家の守り神として信仰されることも多く、迷信と信仰の境界に立つ象徴です。
癸巳はそこに「水」の癸が重なるため、水神・弁才天・白蛇のような連想にもつながりやすく、縁起として語られる余地も大きくなります。
「変化の年」として語られやすい
巳(蛇)の脱皮は、姿を変える=生まれ変わるという象徴です。
癸巳は静かな水の気配(癸)も重なり、「水面下で進んでいたものが変化として現れる」といった物語に結びつけられやすい干支です。
その意味では癸巳は、「当たる占い」ではなく、人々が歴史と生活の中で作ってきた“意味づけの伝統”として読むほうが面白い干支だと言えます。
迷信は年から?日から?|両方あり得る
干支の迷信には、年(その年の干支)に結びつくものと、日(その日の干支)に結びつくものがあります。
癸巳についても、年だけでなく「癸巳の日」のような言い方ができ、古文書の中では日付の識別にも使われてきました。
六十干支は「年齢」だけの話題になりがちですが、実は古来、日付としての利用が重要だったという点は、今後の総論記事でしっかり整理していきます。
癸巳の年(60年周期)|年次カード資料へ
癸巳の年は、60年周期で巡ります。
近代以降は出来事の記録が残りやすく、「誕生年企画」として扱いやすい領域です。
※年次カードは「年の概要」を示す図版で、記事本文は日本と世界の出来事などを中心にします。
2013年(平成25年)
1953年(昭和28年)
1893年(明治26年)
▶ 年次カード情報を見る
まとめ|癸巳は“水の蛇”──静かな変化を語る干支
癸巳(みずのとみ)は、水を表す癸と、変化・再生を象徴する巳が重なった干支です。
六十干支は単なる並びではなく、人々が歴史の中で意味を重ね、迷信や縁起として語り継いできた文化でもあります。
癸巳を入り口に、干支を「年の名札」としてだけでなく、暦の知恵として読み解いていく――
このシリーズがそんな企画になれば面白いですね。