目次
結論を一文で言うと
六十は、暦を「回し」「合わせ」「共有する」ために、
人類がたどり着いた、きわめて実用的な数だった。
① 六十は「割れる」数字だった
まず、技術的にいちばん大きい理由です。
60は、非常に多くの数で割れます。
- 2
- 3
- 4
- 5
- 6
- 10
- 12
- 15
- 20
- 30
暦に必要なのは、
- 月を割る
- 季節を割る
- 期間を区切る
という操作です。
割れない数は、暦では使いにくい。
この点で、60はほぼ理想的でした。
② 太陰(月)と太陽(年)を“雑に”つなげられる
暦の最大の難題はこれです。
- 月の周期 ≒ 29.5日
- 太陽年 ≒ 365日
→ ぴったり合わない
ここで古代の暦は、
「完全一致」を諦めて、こう考えました。
多少ズレても、
長いスパンで合えばいい。
60という単位を使うと、
- 日
- 月
- 年
を、大きな誤差なしで循環管理できます。
六十干支は、
この「雑だけど破綻しない設計」に、
ぴったりハマりました。
③ 人の寿命と“だいたい合う”
古代において、
- 60年 ≒ 一人前の一生
- 60年 ≒ 世代交代
という感覚がありました。
ここで重要なのは、
正確な寿命ではなく、
感覚的に一区切りだったこと
暦は、
天体だけでなく人間社会とも噛み合う必要があります。
六十は、
- 天の循環
- 地の季節
- 人の一生
を、同じ言葉で語れる数だった。
④ 六十は「意味を持たせすぎない」
ここ、かなり重要です。
60という数には、
- 創世神話 ❌
- 特定の神 ❌
- 王の名前 ❌
が結びついていません。
つまり、
政治色・宗教色が薄い
これは暦にとって致命的に重要です。
- 王朝が変わっても使える
- 宗教が変わっても使える
- 国境を越えても使える
六十干支が長生きした理由は、
60という数が「中立」だったからでもあります。
⑤ 他文明でも、60は“選ばれている”
偶然ではありません。
- メソポタミア:60進法
- 1時間=60分
- 1分=60秒
- 円=360度(60×6)
これらはすべて、
時間と空間を分割するために、
60が使いやすかった証拠
六十干支は、
この「60系の時間感覚」の一員です。
⑥ だから六十干支は、特別に“壊れにくい”
ここまでをまとめると:
六十干支は、
- よく割れる
- 天体周期と相性がいい
- 人生感覚と合う
- 思想に依存しない
という条件をすべて満たしていました。
だから、
改良されることはあっても、
捨てられる理由がなかった。
まとめ(記事の芯)
六十という数字は、
神秘的だったから選ばれたのではない。暦という技術にとって、
あまりにも都合がよかったから、生き残った。
六十干支は、
思想でも信仰でもなく、
数字設計の勝利だったとも言えます。
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