近年の中国では、六十干支はあまり使われていないのか?
目次
結論から言うと
はい。近年の中国では、
六十干支は「日常の時間表現」からは、ほぼ退いています。
ただし、
消えたわけではありません。
役割が大きく変わった——これが正確な言い方です。
現代中国での六十干支の立ち位置
① 公的・日常の時間表現では使われない
現在の中国では、
- 年:西暦(公元〇年)
- 月日:西暦ベース
- 曜日:完全に西洋式
が 完全に標準です。
行政・教育・法律・報道で
六十干支が使われることは、ほぼありません。
👉 実務からは完全に退役
② 使われているのは「文化・象徴」の場面
一方で、六十干支は次の領域では生きています。
- 旧暦(農暦)の説明
- 春節・節句などの伝統行事
- 命理学・風水・占術
- 伝統文化の解説・教養
つまり、
暦技術 → 文化記号
へと役割が移行しました。
なぜ中国では「実用」から退いたのか
ここが、日本との大きな違いです。
理由①:近代化が「断絶型」だった
中国の近代化は、
- 清末の改革
- 辛亥革命
- 中華人民共和国成立
と、
旧制度を否定する形で進みました。
その中で、
- 旧暦
- 干支
- 陰陽五行
は、
「前近代的」「迷信的」
として距離を置かれた。
理由②:国家が時間を一本化した
現代中国では、
- 国家が定めた時間
- 国家が定めた暦
- 国家が定めた祝日
が 強く優先されます。
六十干支のような、
- 多義的
- 解釈が分かれる
- 地域差が出やすい
時間表現は、
統治上、扱いづらい。
理由③:干支は「思想」ではなく「技術」だったから
ここが重要です。
六十干支は、
- 宗教的教義 ❌
- 国家理念 ❌
ではなく、
実用技術
でした。
技術は、
- より効率的なものが出れば置き換えられる
- 役目が終われば、静かに退く
中国では、西暦という
より都合の良い時間技術が
国家主導で採用された。
その結果、
六十干支は「現役」を引退した
それでも、完全には消えなかった
興味深いのは、ここです。
- 祝賀の言葉
- 誕生年の話題
- 文化解説
- 学術・歴史文脈
では、今も普通に出てきます。
つまり六十干支は、
使われなくなったのではなく、
生活インフラから文化遺産に移った
日本との決定的な違い
日本では、
- 干支が年賀状に残り
- 誕生年の話題になり
- 行事・言葉として生き続けた
これは、
- 日本の近代化が「重ね書き型」だった
- 旧暦文化を切り捨てなかった
という違いが大きい。
まとめ(ここは記事の核になります)
近年の中国で六十干支は、
日常の暦としては使われていない。しかしそれは、
価値を失ったからではない。暦技術としての役割を終え、
文化記号として生き続けているからである。
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